セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD1

タイトル 内P-2:

胃ESDの切除スピードの部位別検討

演者 藤本 大策(高槻赤十字病院・消化器科)
共同演者 神田 直樹(高槻赤十字病院・消化器科), 寺前 智史(高槻赤十字病院・消化器科), 菊池 志乃(高槻赤十字病院・消化器科), 山中 雄介(高槻赤十字病院・消化器科), 玉田 尚(高槻赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】胃ESDの切除困難部位に関して様々な議論がされているが,実際に部位別の切除スピードを評価した報告は少ない.このため我々は,部位別に切除スピードを検討した.【方法】2006年1月から2013年1月 に当院で施行した胃ESD321例のうち,施行経験20例以上の術者が施行した223例を部位別(噴門部,穹隆部,体部小弯,体部大弯,体部前壁,体部後壁,前庭部小弯,前庭部小弯以外)に,(長径(mm)×短径(mm))/時間(min)を検討した.さらに,前庭部と,前庭部以外の比較も行った.【結果】噴門部8.4±7.7(4例),穹隆部16.6±16.1(3例),体部小弯20.1±12.4(38例),体部大弯18.7±11.6(31例),体部前壁15.3±11.8(23例),体部後壁16.5±9.1(28例),前庭部小弯27.9±14.6(39例),前庭部小弯以外28.6±14.0(57例)と前庭部で速く,体部前後壁で特に遅い傾向があった.前庭部と前庭部以外の比較では,前庭部28.3±14.2(96例),前庭部以外17.6±11.4(127例)と前庭部で有意に速かった(p<0.01).【考察】前庭部においては,小弯は小弯以外に比べ困難とされているが,当検討では切除スピードに差は認めなかった.施行時の印象では小弯は病変の反転が遅く難渋する印象があったが,早期に糸付きクリップを使用するなどの工夫で克服できたものと考えている.体部においては,前後壁および大弯は小弯に比べて難しいと言われているが,当検討でも有意差がないものの,小弯に比べ前後壁・大弯では切除スピードが遅い傾向にあった.特筆すべきは,従来体部大弯は水没等で切除困難と言われているが,当検討では出血の多い前後壁の方が切除スピードが遅く,これは我々の感覚に一致するものであった.当検討では症例数が多くないため,有意差がでなかったが,症例数を増やしての検討が望まれる.噴門部,穹隆部に関しては本報告では症例数が少なく十分な検討ができていないと考えている.【結語】ESD時の切除スピードは前庭部において有意に速く,体部,特に胃体部前後壁において遅い傾向にあった.
索引用語 ESD, 胃