セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD1

タイトル 内P-6:

当院における内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)の現状

演者 岡本 英子(豊島病院・消化器内科)
共同演者 高木 謙太郎(豊島病院・消化器内科), 田村 睦(豊島病院・消化器内科), 近藤 真由美(豊島病院・消化器内科), 藤谷 啓一(豊島病院・外科), 天笠 秀俊(豊島病院・外科), 阿美 克典(豊島病院・外科), 長浜 雄志(豊島病院・外科), 安藤 昌之(豊島病院・外科), 秋田 英貴(豊島病院・病理検査室), 鄭 子文(豊島病院・病理検査室), 柴山 隆男(豊島病院・消化器内科)
抄録 早期胃癌に対するESDは現在では広く行われており,平成24年4月からは早期大腸癌に対してもESDが保険収載され,今後一般病院にも広がることが予想される.今回,市中病院である当院におけるESDの現状を検討した.【方法】2011年4月から2013年3月までの2年間に当院でESDを施行した食道5例6病変,胃42例50病変,大腸7例7病変について検討した.最多34例を担当した術者は初心者から開始し,2011年12月から1年間,週1回専門施設での研修を行った.大腸ESDは2012年4月から開始した.【結果】平均年齢は食道62歳,胃73歳,大腸72歳で,大きな合併症をもつ患者が全体の24.1%であった.平均腫瘍径は食道34mm, 胃17.7mm, 大腸20.3mmで,平均手術時間は食道150分,胃134分,大腸182分であったが,胃で2011年度は平均156分,2012年度は123分と短縮傾向が見られた.一括切除率は食道・大腸100%, 胃98%であったが,一括完全切除率は食道33%, 胃89.8%, 大腸57.1%であった.偶発症は穿孔が食道2例,大腸1例あったが,いずれも保存的加療で改善し,胃の穿孔例はなかった.後出血は胃で3例みられたが,内視鏡的に止血された.【考察】手術時間が長時間であったが,初心者からの導入であったためと考えられ,短縮傾向がみられた.穿孔例はすべて保存的加療可能で,胃の偶発症は他報告例と明らかな差は見られなかった.一括完全切除率が食道,大腸で低く,姑息手術例のほか,大腸は術者が術前に自ら内視鏡を施行しなかった症例に見られた.術前診断の見直しと,手技の更なる向上が必要と考える.当院ではESDは全例外科と合同で行っており,偶発症が起きても速やかに対応できる環境にある.エキスパートがおらず初心者も多い市中病院では,偶発症に備えて外科との密な連絡と,専門施設での研修や研究会への参加,また専門施設に依頼すべき難渋症例の検討が今後必要と考えられた.
索引用語 ESD, 市中病院