セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD2

タイトル 内P-8:

内視鏡的粘膜下層剥離術後の胃潰瘍の治癒速度に関する検討

演者 内田 苗利(町田市民病院・消化器科)
共同演者 和泉 元喜(町田市民病院・消化器科), 土谷 泉(町田市民病院・消化器科), 大熊 幹二(町田市民病院・消化器科), 野口 正朗(町田市民病院・消化器科), 林 依里(町田市民病院・消化器科), 日高 章寿(町田市民病院・消化器科), 谷田 恵美子(町田市民病院・消化器科), 益井 芳文(町田市民病院・消化器科), 吉澤 海(町田市民病院・消化器科), 阿部 剛(町田市民病院・消化器科), 白濱 圭吾(町田市民病院・消化器科), 金崎 章(町田市民病院・消化器科)
抄録 【目的】胃腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後,早期の止血及び再出血抑制のために酸分泌抑制薬を使用するが,その投与期間に関する明確な指針はない.今回PPIのなかで最も高い酸分泌抑制効果が期待できるエソメプラゾールを用いて,ESD後の胃潰瘍の治癒が得られるまでの期間について検討することを目的とした.【方法】2012年7月から2013年1月に当院でESDを施行した患者30人35病変に対し,エソメプラゾール20mg/日を8週間投与した.施術直後と1,4,6,8週後に上部内視鏡検査を施行し,それぞれの時期の縮小率及び瘢痕化率を算出し,それらに影響を与える因子について検討した.なお,潰瘍の長径(a)と短径(b)はオリンパス製M2-4Kメジャーを用いて測定し,面積はa/2×b/ 2×π(mm2)で計算した.因子としては,年齢,性別,BMI,飲酒の有無,喫煙の有無,バイアスピリンの内服の有無,糖尿病の有無,病変の局在,萎縮度,術直後の潰瘍の大きさについて検討した.【成績】全例で8週までエソメプラゾールの全量投与及び内視鏡検査が実施された.男女比は26/9,平均年齢73.1(51-86)歳,平均のBMIは22.7,病変の局在はU3/M13/L19,施術直後の潰瘍の面積の平均は1616(141-6908)mm2であった.切除検体の組織型はadenomaが3例,carcinomaが32例であり,全例で完全切除が得られていた.瘢痕化率は1,4,6,8週でそれぞれ0,14,51,86%であった.瘢痕化していなかった潰瘍の縮小率の中央値はそれぞれ49,95,98,99%であった.8週間を通しての縮小率と瘢痕化率に影響を与える因子は見いだせなかった.【結論】新しいPPIであるエソメプラゾール20mg単剤でのESD後潰瘍に対する治療では,8週投与のみでは瘢痕化に至らない症例もあり,その予測因子は指摘できなかった.このため従来の報告で有用とされている多剤の併用を検討する必要があると考えられた.
索引用語 ESD後潰瘍, エソメプラゾール