セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD4

タイトル 内P-18:

内視鏡粘膜下層剥離術にて非治癒切除となった早期胃癌の検討

演者 金子 昌史(松阪中央総合病院・胃腸科)
共同演者 玉井 康将(松阪中央総合病院・胃腸科), 黒田 直起(松阪中央総合病院・胃腸科), 矢田 崇純(松阪中央総合病院・胃腸科), 原田 哲朗(松阪中央総合病院・胃腸科), 井口 正士(松阪中央総合病院・胃腸科), 別府 徹也(松阪中央総合病院・胃腸科), 直田 浩明(松阪中央総合病院・胃腸科), 山中 猛成(松阪中央総合病院・胃腸科), 小林 一彦(松阪中央総合病院・胃腸科)
抄録 【目的】胃腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が普及し,低侵襲な治療が可能となったが術後に非治癒切除と診断される症例が少なからず存在する.非治癒切除症例に対しては年齢や併存疾患などを考慮して追加治療が選択されているのが現状である.当院における内視鏡非治癒切除例の現況を報告する.【方法】2005年4月~2013年3月の期間に当院にてESDを施行した193例219病変(38~91歳,男女比 139:54)のうち非治癒切除と診断した早期胃癌25例27病変(56~88歳,男女比 22:3)を対象とし,1)術前診断,2)術後診断,3)非治癒切除因子(重複あり),4)追加治療,5)転帰について検討した.【成績】1)適応病変:8病変(うち1病変は腺腫),適応拡大病変:16病変,適応外病変:3病変.2)適応病変:3病変,適応拡大病変:6病変,適応外病変:18病変.3)SM2癌:12病変,LM(+):8病変,VM(+):5病変,ly(+):12病変,v(+):1病変,2cm以上の未分化型癌:1病変.4)LM(+)となった適応拡大病変1例および適応外病変の6例(56~84歳)に対して追加外科切除が行われた.切除断端陽性が非治癒切除因子となった適応病変および適応拡大病変7例8病変(58~79歳)と適応外病変11例12病変(71~88歳) では経過観察となっている.5)追加外科切除症例ではLM(+)となった適応拡大病変1例に局所遺残がみられたが,7例全てでリンパ節転移は認められず,またいずれの症例も現在までに無再発生存中である.無治療経過観察となった18例のうち2例が他病死,1例がリンパ節転移再発に伴う通過障害により誤嚥性肺炎を来たしESD後2年6ヶ月目に死亡している. 【結論】非治癒切除例では適応外病変で再発死亡例もあり全身状態に応じて追加治療を積極的に検討していく必要性が考えられた.その一方で高齢者や重篤な併存疾患を有する症例に対する姑息的治療としてのESDが容認されうる可能性も示唆された.
索引用語 ESD, 非治癒切除