セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD4

タイトル 内P-21:

ESDを施行した未分化型胃癌の臨床的検討

演者 関 慶一(済生会新潟第二病院・消化器内科)
共同演者 本間 照(済生会新潟第二病院・消化器内科), 堀米 亮子(済生会新潟第二病院・消化器内科), 木村 成宏(済生会新潟第二病院・消化器内科), 本田 博樹(済生会新潟第二病院・消化器内科), 岩永 明人(済生会新潟第二病院・消化器内科), 窪田 智之(済生会新潟第二病院・消化器内科), 石川 達(済生会新潟第二病院・消化器内科), 吉田 俊明(済生会新潟第二病院・消化器内科), 石原 法子(済生会新潟第二病院・病理検査科)
抄録 【背景】胃未分化型腺癌に対するESD適応拡大が提唱されている.先行研究によってその病理学的適応拡大の条件は,粘膜内癌,20mm以下,瘢痕なしを満たすこととされ,術前にこの条件に見合う病変を正確に診断することが求められるが,診断困難例も存在する.【目的】術前診断で注意すべき内視鏡的特徴を遡及的に検討すること.【対象】2011年5月から2013年2月にESDを施行した4症例である.【結果】症例1は体下部前壁大弯,5mmの粘膜構造を保った褪色調病変から生検でsigを認めた.病理では12mm,sig,por2が粘膜の中層から表層に存在していた.症例2は前庭部大弯の7mm,症例1類似の褪色調病変から生検でsigを認めた.病理では13mm,sigの大部分は主として粘膜中層に存在し,表面に露呈した部位で粘膜全層であった.症例3は前庭部大弯の8mm,糜爛様で一部軽度に隆起した褪色調病変から生検でsigを認めた.病理では11mmのsm浸潤癌で,追加手術では遺残は認めなかった.症例4は前庭部前壁の8mm,症例3類似の糜爛様で周囲隆起を伴わない病変から生検でsigを認めた.病理では16mmのsm浸潤癌で,追加手術では最終的に進行癌と診断された.【考察】症例1,2から内視鏡観察で表層の構造が保たれている事が,比較的癌量が少なく,主に粘膜中層に分布する病変の特徴と推察された.粘膜表層に露呈している部で,癌は全層に存在していた.NBI拡大観察ではwhite zoneは開大していたが保たれていた.症例3と4は,結果的に浸潤癌であったことから,糜爛を伴う病変の深達度は深く考える必要があると考えられた.また,4例とも内視鏡的には10mm以下と診断したが,全例とも切除標本での実際の進展範囲は全例で大きかった.ESDによる非治癒切除の原因は,深達度と範囲診断に課題があり,治療法の選択には尚慎重を期する必要があると考えられる.
索引用語 ESD, 未分化型胃癌