セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD4

タイトル 内P-22:

早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後の近傍再発病変の検討

演者 青柳 裕之(福井県立病院・消化器内科)
共同演者 伊部 直之(福井県立病院・消化器内科), 鳥居 志充(福井県立病院・消化器内科), 西山 悟(福井県立病院・消化器内科), 藤永 晴夫(福井県立病院・消化器内科), 林 宣明(福井県立病院・消化器内科), 波佐谷 兼慶(福井県立病院・消化器内科), 辰巳 靖(福井県立病院・消化器内科), 浅海 吉傑(福井県立病院・外科), 宮永 太門(福井県立病院・外科), 海崎 泰治(福井県立病院・臨床病理科)
抄録 【目的】我々は2010年JDDWにて早期胃癌に対してESDを施行し病理学的に側方断端,垂直断端とも陰性を確認したにもかかわらず術後,潰瘍瘢痕周囲の10mm以内,あるいは潰瘍瘢痕上に切除病変とは性質の異なる早期胃癌を認めたものを近傍再発胃癌と定義しその頻度,想定される病態の報告をしてきた.最近,当施設において近傍再発病変の頻度は低下傾向にある.その原因を考察することを目的とした.【方法】2004年5月より2013年2月までに当院にて施行された上部ESD 814症例のうち早期胃癌に対してESD施行された706症例を対象とした.近傍再発が疑われた病変はCD10,MUC2,MUC5A,MUC6を用いて粘液形質の違いを用いて組織学的な差異を評価した.【成績】2010年3月までに近傍再発と診断された6例について発生頻度,再発期間を報告した.その際の近傍再発の発生頻度は1.6%であった.近傍再発癌は第一病変切除後,第二病変同定までに平均10.95カ月間を必要とした.切除後,病理組織学的検討では粘液形質の違いにより組織学的差異が全ての病変に認められた.2010年3月以降は1例のみしか近傍再発癌は認められなかった.そのため近傍再発の発生頻度は0.99%となった.【結論】ESD後の近傍再発癌はその病態として第一病変周囲の内視鏡的同定困難な潜在癌であると考えていた.ESD施行により潜在癌が組織修復過程の中で産生される成長因子やサイトカインによって病変が増大した可能性を考えていた.その頻度が減じた原因としてNBI拡大内視鏡検査の普及浸透であることが予想される.またESD後の経過観察も本来ならば定期的に施行されるべきであるがかかりつけ医との連携が不十分な場合,術後患者の状態により経過観察が不定期となる場合がある.近傍再発胃癌に加えて異時多発の性質を持つ分化型早期胃癌をESD施行する際には術後計画的な経過観察が必要であると考えた.
索引用語 早期胃癌, 近傍再発