セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD偶発症1

タイトル 内P-29:

胃ESD症例における抗血栓薬内服患者での出血率の検討

演者 糸島 尚(済生会熊本病院・消化器病センター)
共同演者 上原 正義(済生会熊本病院・消化器病センター), 齋藤 宏和(済生会熊本病院・消化器病センター), 須古 信一郎(済生会熊本病院・消化器病センター), 村岡 正武(済生会熊本病院・消化器病センター), 吉田 健一(済生会熊本病院・消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院・消化器病センター), 近澤 秀人(済生会熊本病院・消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院・消化器病センター)
抄録 今回我々は胃ESD症例の解析を行い,抗血栓薬服用者の出血率などの検討を行うこととした.【方法】対象は胃の腺腫・早期胃癌に対してESDを行った症例672例である.期間は2007年7月から2012年6月まで5年間.抗血栓薬非内服群と内服群での術後出血(定義:ESD終了後に止血処置を要する緊急内視鏡や輸血を要したもの)の有無や抗血栓薬内服群において年齢,性別,病変の大きさ,抗血栓薬内服の基礎疾患,抗血栓薬の種類,術後出血の有無,術後出血までの日数,輸血の有無,ヘパリン化の有無,周術期の血栓塞栓症の有無の検討を行った.【結果】非内服群550例,内服群122例であった.内服群での基礎疾患は,延べ数で心血管障害47%,脳血管障害24%,不整脈22%,その他であった.内服していた抗血栓薬の種類は,アスピリン53%,ワルファリンカリウム19%,シロスタゾール8%,チクロピジン6%その他であった.術後出血率は3.6%(20/550),内服群9.0%(11/122)であった.ヘパリン化群と非ヘパリン化群では年齢と性別に有意な差はなく,病変の大きさもそれぞれ19.3mmと18.5mmと差はなかった.周術期の血栓塞栓症の有無にも有意な差は認めなかった.術後出血率は,ヘパリン化群4.2%(1/24),非ヘパリン化群10.2%(10/98)であった.術後出血率においては抗血栓薬非内服群と抗血栓薬内服群では有意に内服群で多かったものの,ヘパリン化の有無で有意な差は認めなかった.【考察】抗血栓薬非内服群と比較すると抗血栓薬内服群では有意に術後出血率が高かった.2012年に消化器内視鏡学会より出されたガイドラインでは血栓症発症のリスクの高い低用量アスピリン単独服用者では休薬することなく施行してもよいとなっている.今後は抗血栓薬を継続のまま治療を行った場合の安全性を検討するため出血率などの比較が必要である.
索引用語 胃ESD, 抗血栓薬