セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD偶発症1

タイトル 内P-30:

広範囲のESD後に通過障害を来した胃癌の1例

演者 仙波 義秀(千葉大大学院・先端応用外科学)
共同演者 堀部 大輔(千葉大大学院・先端応用外科学), 上里 昌也(千葉大大学院・先端応用外科学), 竹下 修由(千葉大大学院・先端応用外科学), 丸山 哲郎(千葉大大学院・先端応用外科学), 郡司 久(千葉大大学院・先端応用外科学), 森 幹人(千葉大大学院・先端応用外科学), 羽成 直行(千葉大大学院・先端応用外科学), 林 秀樹(千葉大フロンティアメディカル工学研究開発センター), 松原 久裕(千葉大大学院・先端応用外科学)
抄録 症例は80歳代男性.2012年10月検診にて要精査となり前医にて上部消化管内視鏡検査(GS)を施行,胃角部から前庭部にかけて0-IIa病変を認め,生検にて高分化型管状腺癌の診断となり当科紹介となった.当院での精査にて,さらにこの腫瘍の近傍に腺腫と,早期食道癌も認めた.いずれの病変もESD適応と診断し,同年12月,胃癌,胃腺腫,食道癌に対し全身麻酔下にてESDを施行した.胃病変に関しては,両病変を同一標本にて一括切除を施行した.胃切除時間は155分,胃標本の大きさは115×100mmであり5/6周の粘膜切除となった.病理結果は,88×84mmと7mm,いずれも高分化型管状腺癌,深達度m,断端は陰性であった.術後経過は概ね良好であり,第11病日退院となった.術後1か月のGSではESD部の潰瘍は残存しており,内腔は狭小化していたが,スコープの通過は容易であった.術後約2ヶ月より腹部膨満,吃逆を認め,次第に増悪し,食事摂取も困難となり当科再入院となった.入院後の腹部CTにて,著名な胃拡張,十二指腸から空腸に至る腸管拡張を認めるも,明らかな閉塞機転は認めなかった.保存的に症状は軽快し,その後施行したGSではESD部の潰瘍は著明に縮小しており,瘢痕による狭小化は認めるも,やはりスコープは抵抗無く通過可能であった.狭窄予防目的にステロイドを局注した.上部消化管造影検査では,胃からの排泄不良を認めるも,明らかな狭窄は認めなかった.その後症状はほぼ消失し,第13病日に退院となった.術後約3ヶ月の上部消化管内視鏡では,ESD部の潰瘍はわずかに残存しており,内腔の狭小化は認められるも,スコープは抵抗なく通過した.狭窄予防目的にブジーを施行し,ステロイドを局注した.現在は外来にて経過観察中である.今回,広範囲のESD後に通過障害を来した胃癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を含め報告する.
索引用語 胃ESD, 術後狭窄