セッション情報 |
ポスターセッション(消化器内視鏡学会)
胃-ESD偶発症1
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タイトル |
内P-33:旧基準に準じた抗血栓薬休薬は血栓塞栓症のリスクか?
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演者 |
中村 宗剛(山口大大学院・消化器病態内科学) |
共同演者 |
西川 潤(山口大大学院・消化器病態内科学), 五嶋 敦史(山口大大学院・消化器病態内科学), 西村 純一(山口大大学院・消化器病態内科学), 岡本 健志(山口大大学院・消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大大学院・消化器病態内科学) |
抄録 |
【目的】近年罹患数が増加している心疾患,脳血管疾患等の生活習慣病予防には抗血栓薬内服が有用で,抗血栓薬内服症例に対するESDが今後増加すると予測される.抗血栓薬内服症例に対するESDでは後出血と休薬による血栓塞栓症のリスクを同時に回避することが重要である.本検討の目的は,抗血栓薬休薬の旧基準に準じた胃ESDの安全性を評価することである.【方法】2006年4月から2011年3月までに当院において, ESDを施行した胃腫瘍447症例,544病変を対象に後出血の頻度とそのリスク因子について検討した.対象のうち抗血栓薬内服症例は19.5%(106/544),血栓塞栓症の低リスク群は76.4%(81/106),高リスク群は22.6%(24/106),ヘパリン化例は4.2%(23/544)であった.抗血栓薬休薬期間は外科手術に準じた旧来のものを用いた.ヘパリン化の要否は処方医または当院循環器内科,脳外科にコンサルトし判断した.同時期に当院第二外科において施行された早期胃癌に対する腹腔鏡補助下胃切除術128例について血栓塞栓症の頻度を検討した.【成績】完全一括切除率は95.4%(519/544),治癒切除率は87.8%(477/544)であった.後出血は7.0%(38/544),穿孔は1.8%(10/544)に生じた.後出血のリスク因子として単変量解析で血小板数<15x104/μl (P=0.013)とPT%<70 %(P=0.044),切除径≧50 mm(P=0.038),水平断端陽性(P=0.012)において有意差を認めた.多変量解析では血小板数低値(P=0.029)と水平断端陽性(P=0.018)において有意差を認めた.ESD治療前後に血栓塞栓症を来した症例は認めなかった.同時期に同基準で施行された早期胃癌に対する腹腔鏡補助下胃切除術128例においても血栓塞栓症を来した症例は認めなかった.【結論】本検討では旧基準に準じた抗血栓薬休薬によるESDで出血と血栓塞栓症の2つのリスク回避の両立が可能であることが示唆された.ESDは内視鏡治療の中では最も侵襲的なものの1つで,外科手術に準じた抗血栓薬休薬が適していると考えられる. |
索引用語 |
抗血栓薬, 内視鏡治療 |