セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD偶発症2

タイトル 内P-34:

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)時の弾性ストッキング(IPC)による深部静脈血栓症(DVT)の予防効果

演者 楠 正典(日本医大・消化器内科)
共同演者 三宅 一昌(日本医大・消化器内科), 山田 章善(日本医大・消化器内科), 山脇 博士(日本医大・消化器内科), 小高 康裕(日本医大・消化器内科), 新福 摩弓(日本医大・消化器内科), 名児耶 浩幸(日本医大・消化器内科), 進藤 智隆(日本医大・消化器内科), 植木 信江(日本医大・消化器内科), 河越 哲郎(日本医大・消化器内科), 二神 生爾(日本医大・消化器内科), 坂本 長逸(日本医大・消化器内科)
抄録 【目的】早期胃癌に対するESDは,保険収載され全国的に普及している.以前我々はESDによりDVTが10.0%(6/60例)に発症することから,同手技は『肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2009年改訂版)』における中等度リスクに当たることを報告した(GIE2011;74:798).同ガイドライン上,中等度リスク手技に対してはIPCによる血栓予防が推奨されているが,ESD時における予防効果は検討されていない.そこで今回,IPCでのESD後DVT発症率を検討し,以前報告した弾性ストッキングを装着していないESD患者60例と比較検討した.【方法】前向きコホート研究により,2010年8月から2012年10月まで連続する胃ESD患者84例を対象として,術前・後に下肢静脈エコーを施行,DVTの発症率および予測因子(年齢,性別,BMI,抗血栓薬,併存症,術時間,D-dimer)を検討した.D-dimerは,術前,術直後および術翌日の計3回測定.IPCは術直前から装着し,安静解除となる術翌日まで使用した.【成績】下肢静脈エコーでは術後84例中2例(発症率2.4%)にDVTを認めた.これは以前の検討(10.0%)と比べて有意に低かった(p<0.05:χ2検定).D-dimer値は前回報告と同様,術前と比べ,術直後および術翌日有意に増加した(0.79±0.04, 0.91±0.08,&1.98±0.55μg/ml; それぞれp<0.05).さらに,DVT発症例では,非発症例とくらべて,術翌日のD-dimer値の上昇が顕著であった (前1.45±0.15, 翌日23.50±22.10μg/ml,).DVT発症例についてはいずれも無症状であったがワーファリンを開始し,3か月後の下肢静脈エコーで消失を確認しえた.【結論】ESD術後のDVT発症予防に,IPCは有用と考えられた.しかし,IPCでもDVTの発症例があり,術後D-dimerおよび下肢エコーを用いた早期発見・治療が望まれると思われた.
索引用語 ESD, 深部静脈血栓症