セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD工夫1

タイトル 内P-41:

UM領域大弯側における胃ESDの特徴とITナイフ2による手技の工夫

演者 福永 周生(大阪市立大・消化器内科)
共同演者 斯波 将次(大阪市立大・消化器内科), 藤原 靖弘(大阪市立大・消化器内科)
抄録 【背景】以前我々は最初にITナイフ2(IT2)を使用した際,潰瘍瘢痕(UL)症例は有意にナイフ変更に寄与し治療困難であると報告した(Gastroenterol Endosc,53(Suppl.1):759,2011).一方UM領域大弯側にかかる病変も粘膜下層の豊富な血管と脂肪によりESD困難が予測される.【目的】UM領域大弯側に切除ラインがかかる病変のESD困難性を証明する.【対象と方法】2007年1月~2013年2月に当院でESDを施行したUM領域の胃腫瘍は427例であった(多発病変は代表病変を1つ選定,非上皮性腫瘍と中止例を除外).UL+症例(85例)は以前に治療困難と判明したためUL-病変342例で検討した.小弯中央を0時,大弯中央を6時と仮定,後壁側の3時から時計回りに前壁側の9時までを大弯側と定義し,大弯病変,及び3~9時に一部でもマーキングがかかる病変を大弯側にかかる病変(G群)と定義(その他:non-G群)した.【結果】G群198 vs.non-G群144,男/女:151/47 vs.107/37,平均年齢(歳):70.1 vs.71.2,肉眼型(隆起/陥凹):120/78 vs.86/58,平均腫瘍径(mm):18.0 vs.14.9,一括切除率(%):99.5 vs.100.0,深達度(腺腫-M/SM):135/9 vs.193/5,後出血率(%):2.0 vs.2.8,穿孔率(%):2.0 vs.0.7,平均切除時間(min.):96.6 vs.80.2,ナイフ変更率(%):11.6 vs.5.6であった.平均腫瘍径,平均切除時間で有意差を認め,ナイフ変更率はG群で高い傾向(p=0.007, 0.012, 0.058)にあった.【結論】腫瘍径に差があるが,UM領域大弯側にかかる病変は治療時間が有意に長く,ナイフを変更する傾向があり,ESD困難例と思われた.【手技の工夫】大弯側の粘膜切開はIT2で浅く行う.剥離では反転で口側から引き切りすると常に脂肪や血管の豊富な層からの通電となりレンズ汚れと出血を繰り返す.よって肛門側の粘膜下層にIT2先端を押し当てて通電し,脂肪や血管が少ない筋層直上に早く入り,大弯側の切開ラインに向けて持ち上げる様に剥離し振り抜く.本手技は出血点を確認し易く,脂肪が多い層は1剥離操作の後半でレンズ汚れが最小限となる.当日は同手技をビデオで提示する.
索引用語 胃ESD, ITナイフ2