セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD工夫2

タイトル 内P-43:

早期胃癌ESD後潰瘍に対する生体吸収性ポリグリコール酸シートとフィブリン製剤併用による潰瘍カバー療法の効果

演者 柴田 知行(藤田保健衛生大・消化管内科)
共同演者 石塚 隆充(藤田保健衛生大・消化管内科), 米村 穣(藤田保健衛生大・消化管内科), 田原 智満(藤田保健衛生大・消化管内科), 大久保 正明(藤田保健衛生大・消化管内科), 市川 裕一朗(藤田保健衛生大・消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科)
抄録 【背景及び目的】生体吸収性ポリグリコール酸シート(ネオベール,グンゼ)・フィブリン糊(ベリプラスト,CSLベーリング)併用療法はこれまで手術時に用いられる事が多かった.最近,その密封効果が注目され内視鏡の分野でも応用される様になった.本研究は,生体吸収性シートとフィブリン糊併用療法による早期胃癌内視鏡的治療後の潰瘍シール効果及び治癒への影響を評価することを目的とした.【方法】対象は胃の早期胃癌に対しESDを施行した9名.腫瘍剥離後にできた潰瘍に対し生体吸収性シートを用いて被覆し,フィブリン糊を散布して固定した.潰瘍治療のために術後プロトンポンプ阻害剤(PPI)を使用し,粘膜防御剤を8週間併用した.潰瘍からの出血の状況と治癒経過を見るためにESD後1日,7日,28日,56日後に内視鏡を施行した.【結果】ESD後1日,7日の内視鏡所見では凝血状の所見は2例で認めたものの出血兆候は1例も認められず,止血操作は施行されなかった.ESD後28日の内視鏡観察した7例では1例瘢痕化していた.56日後の内視鏡観察では9例中1例に白苔の残存を認めた.後出血症例は認めなかった.ESD前後1週間のHbの変動は13.1から12.7であった.平均の病変剥離時間は85分であったのに対し平均ESD全施行時間は130分であり,シート装着時間に30分程度かかると考えられた.【結論】生体吸収性ポリグリコール酸シート・フィブリン糊併用療法は,ESD後の人工潰瘍からの出血予防に有用であり,止血操作の省略に役立った.潰瘍治癒速度も未使用群と同等であり今後のESD後潰瘍に対する治療手順として有用であると考えられた.操作時間は課題として更に検討すべきと考えられた.
索引用語 ESD, 潰瘍