セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD工夫2

タイトル 内P-44:

Inverted Overtube導入右側臥位下ESD法の有用性

演者 西山 典子(香川大附属病院・消化器・神経内科)
共同演者 森 宏仁(香川大附属病院・消化器・神経内科), 小原 英幹(香川大附属病院・消化器・神経内科), 藤原 新太郎(香川大附属病院・消化器・神経内科), 小林 三善(香川大附属病院・消化器・神経内科), 正木 勉(香川大附属病院・消化器・神経内科)
抄録 【背景】近年,ESD困難部位とされる胃体部・胃底部・大弯部病変等は手技時間,一括切除率,出血・穿孔等の偶発症において依然,改善の余地がある.筋層に直面する部位や,水没する部位において,右側臥位下での内視鏡治療における有用性は報告されているものの,左側臥位同様の取り回しに限界がある.そこで,我々は,胃の解剖学的見地より,重力を利用し,右側臥位にて内視鏡挿入可能なU字型inverted overtubeを開発し,2009年7月より臨床応用されるに至った.当大学承認下に右側臥位が必要な緊急消化管出血例に対し使用し,手技時間,止血成功率に一定の効果を得ている.加えて,左側臥位同様に良好な内視鏡の取り回しが可能であった.その経験を踏まえ,ESD困難部位においても,Inverted Overtube導入右側臥位下ESD法が,手技時間の短縮,一括切除率,偶発症リスクの軽減に寄与すると予測される.【目的】胃ESD困難部位症例に対する本法の臨床応用における有用性及び安全性を検証する.【方法】2012年4月~2013年3月までに胃体下部前壁の筋層が直面する早期胃癌2例を対象とした.手技手順は,1.患者を右側臥位とする2.overtubeを通常のマウスピースの代わりに患者に装着後,型通り内視鏡を挿入しESDを施行した.overtube使用については予め文章で同意を得ている.評価項目としてESD手技完遂,手技時間,偶発症について検討した.【結果】全例においてESDは完遂した.手技時間は,平均73分であった.いずれも筋層が直面する前壁側は,本法にて,接線方向に安全に切開,剥離が可能となった.いずれも一括切除となり,偶発症は認められなかった.【結論】筋層が直面する部位では,Inverted Overtube導入右側臥位下ESD法は,安全かつ安定したESD手技を具現化する可能性が示唆された.今後,本法が有用な適応例の選定も含めて,前向き比較試験を進めている.手技の動画を供覧する.
索引用語 ESD, 早期胃癌