セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD治療成績1

タイトル 内P-48:

分化型早期胃癌内視鏡治療後の再発病態と対策-側方断端陽性もしくは分割切除のみが非治癒因子であった症例の検討-

演者 関口 正宇(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科)
共同演者 鈴木 晴久(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科), 小田 一郎(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科)
抄録 【目的】分化型早期胃癌に対する内視鏡治療後に,側方断端陽性または分割切除のみが非治癒因子である場合は,追加外科切除を行わずにフォローする方法も許容されている.しかしその後の再発病態は未知であり,その点を明らかにする.また局所再発に対してはESDが治療法として選択されうるが,その治療成績についても明らかにする.【方法】検討1)1999年から2010年に当院でESDが施行された早期胃癌3,784例のうち,分化型癌の側方断端陽性または分割切除のみが非治癒因子であった89例を対象に,遺残や再発の有無・病態・危険因子,予後について検討した.危険因子は,年齢,性別,病変部位,肉眼型,腫瘍径,深達度,組織型,UL,一括切除の有無,癌の側方断端露出距離を用いて単変量・多変量解析で検討した.検討2)内視鏡治療後の局所再発に対するESDの短期/長期成績について,当院ESD後のみならず,当院EMR後や他院EMR/ESD後の症例も加えて検討した.【成績】検討1)ESD後の追加外科/内視鏡切除は各々5例,3例に施行され,遺残を6例に認めた.残りの81例ではESD後に経過観察が選択され,局所再発を10例に認めた(観察期間中央値58ヶ月).リンパ節・遠隔転移は1例も認めなかった.局所再発はESD後3-88ヶ月(中央値13ヶ月)に発見され,全て分化型粘膜内癌で8例は再ESDで治療された.遺残,局所再発の危険因子は,癌の側方断端露出距離(6mm以上)が同定された.原病死は一例も認めなかった.検討2)局所再発に対するESDは95例に施行,一括/R0/治癒切除率は各々91%,84%,81%で,合併症は穿孔が6%にみられた.治療後に再度局所再発を3例に認めたが,原病死はみられなかった(観察期間中央値76ヶ月).【結論】分化型胃癌の内視鏡治療後,側方断端陽性または分割切除のみが非治癒因子である場合,転移のリスクが低い一方で,局所再発や遺残は一定頻度でみられた.但し,局所再発の治療法としてもESDは有効な選択肢と考えられた.
索引用語 早期胃癌, 局所再発