セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD治療成績1

タイトル 内P-49:

EMR,ESD後の瘢痕を有する病変に対して施行したESDに関する検討

演者 井深 貴士(岐阜大・消化器病態学)
共同演者 荒木 寛司(岐阜大・消化器病態学), 中西 孝之(岐阜大・消化器病態学), 高田 淳(岐阜大・消化器病態学), 久保田 全哉(岐阜大・消化器病態学), 小野木 章人(岐阜大・消化器病態学), 白木 亮(岐阜大・消化器病態学), 清水 雅仁(岐阜大・消化器病態学), 森脇 久隆(岐阜大・消化器病態学)
抄録 【目的】EMR,ESD後の遺残再発や,ESD瘢痕近傍に異時性病変が発生し,瘢痕を有する症例にESDを施行する必要が生じる場合がある.今回我々は,EMR,ESD後の瘢痕を有する病変に対して施行したESDに関して検討した.【対象】2002年6月より2012年11月までに当科にてESD加療を行った803病変中,EMR,ESD後の瘢痕を有する病変にESDを施行した31症例34病変を対象とした.粘膜下層の一部に線維化を認めるものをGrade1(G1),粘膜下層全層に線維化を認めるものをGrade2(G2)とした.線維化の程度に関して部位,EMR後とESD後,前回ESD施行してからの期間について検討した.【成績】EMR後瘢痕10病変,ESD後瘢痕24病変であった.スネア併用は8.8%(3/34)であった.全例切除可能であった.一括切除率は97.1%(33/34)であった.平均病変径18(4-75)mm,平均施行時間84.8(20-233)分であった.偶発症は後出血を11.8%(4/34)に認めた.穿孔は認めなかった.部位によるG2はU領域57.1%(4/7),M領域63.2%(12/19),L領域25%(2/8)であった.小弯側のG2は65%(13/20),小弯以外のG2は35.7%(5/14)であった.EMR後のG2は30%(3/10),ESD後62.5%(15/24)であった.前回ESDを施行してから再ESD施行までの平均期間は527.2(4-1932)日であった.G2群はG1群と比べ有意に再ESD施行までの期間が短かった(P<0.05).ESD施行後527日未満のG2は80%(12/15)であり,527日以後の33.3%(3/9)に比し,有意にG2の率が高かった(P<0.05).手技はフードを長めに装着し,先端系のナイフを使用した.できる限り脱気し,瘢痕両端の剥離した部位から筋層のラインを想定し,筋層と水平にナイフを動かすようにESDを行った.適時マルチベンディングスコープを使用した.【結論】前回治療から期間が短い場合,強固な線維化を生じる場合が多い.初回ESD治療を行う際に周囲もよく観察する必要がある.EMR,ESD後の瘢痕を有する病変に対しても適切な手技と工夫をすることで安全に治療が可能であった.
索引用語 ESD, 瘢痕