セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-ESD治療成績3

タイトル 内P-59:

当院における高齢者に対する早期胃癌ESDの検討

演者 山下 允孝(防衛医大病院・2内科)
共同演者 井上 悌仁(防衛医大病院・2内科), 尾崎 隼人(防衛医大病院・2内科), 古橋 廣嵩(防衛医大病院・2内科), 清水 基規(防衛医大病院・2内科), 高城 健(防衛医大病院・2内科), 安武 優一(防衛医大病院・2内科), 佐藤 宏和(防衛医大病院・2内科), 成松 和幸(防衛医大病院・2内科), 渡辺 知佳子(防衛医大病院・2内科), 高本 俊介(防衛医大病院・光学医療診療部), 穂苅 量太(防衛医大病院・2内科), 川口 淳(防衛医大病院・2内科), 永尾 重昭(防衛医大病院・光学医療診療部), 三浦 総一郎(防衛医大病院・2内科)
抄録 【目的】近年高齢化社会の進行とともに,高齢者に対して早期胃癌ESDを行う機会が増加している.高齢者は様々な基礎疾患の併存もあり,偶発症のリスクも高いとされる.そこで今回当院での高齢者早期胃癌ESDの治療成績を検討した.【方法】2007年1月から2013年2月までに早期胃癌に対してESDを施行した303例を対象とした.80歳以上を高齢者群(68例),80歳未満を非高齢者群(235例)と定義し,治療成績と偶発症についてretrospectiveに比較検討した.検討項目は抗凝固・抗血小板剤服用の有無,一括切除率,一括治癒切除率,偶発症,手術時間(中央値)とした.【成績】高齢者群68例の内訳はESD適応内41例,適応拡大20例,適応外7例であり,非高齢者群235例の内訳はESD適応内149例,適応拡大58例,適応外28例であった.抗凝固・抗血小板剤服用は高齢者群:16/68(23.5%),非高齢者群:14/235(5.9%)で加齢に伴い高率であった.一括切除率,一括治癒切除率は高齢者群でそれぞれ66/68(97.1%),52/66(78.8%),非高齢者群でそれぞれ223/235(94.9%),191/223(85.6%)でいずれも有意差は認めなかった.偶発症は後出血,穿孔は高齢者群でそれぞれ4/68(5.8%),2/68(2.9%),非高齢者群でそれぞれ5/235(2.1%),9/235(3.8%)でいずれも有意差は認めなかったが,呼吸器合併症は高齢者群:5/68(7.3%),非高齢者群:3/235(1.2%)であり有意差を認めた.手術時間は高齢者群:111.5分,非高齢者群:94分であった.また,全例において治療関連死は認めなかった.【結論】高齢者に対する早期胃癌ESDは非高齢者と比較して特殊性を認めず,有効かつ安全に行うことができると考えられた.しかし,呼吸器合併症が高齢者には起こりやすいことを念頭に置き,リスクを加味したうえでESDの適応を決定すべきと考えられた.
索引用語 ESD, 高齢者