セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-IEE1

タイトル 内P-71:

早期胃癌NBI拡大観察におけるシアン調血管の重要性の検討

演者 濱本 英剛(仙台厚生病院・消化器内視鏡センター)
共同演者 三宅 直人(仙台厚生病院・消化器内視鏡センター), 長南 明道(仙台厚生病院・消化器内視鏡センター)
抄録 【背景・目的】NBI拡大観察でWhite Zone(WZ)が見えない分化型早期胃癌は未分化型癌と診断されがちである.このような病変でしばしばシアン調血管が視認されることに我々は着目した.シアン調血管が視認される場合,粘膜が薄いと推測されるが未だ証明されていない.一方,WZが見えない場合,腺窩が浅い,あるいは窩間部が狭いことは報告されている.そこで,シアン調血管の有無と粘膜厚,腺窩の深さ,窩間部の広さ,WZの視認性との関係を検討した.【対象】2011年4月~2013年2月にNBI拡大内視鏡所見と病理組織の対応が可能であった早期胃癌42病変. 深達度(m, sm1, sm2: 39, 1, 2) , 組織型(tub1,tub2, tub1+tub2, muc, : 29, 3, 9, 1).【方法】シアン調血管が視認された10病変(以下シ有群)で病理切片上血管周囲と思われる部位の40倍1視野の平均粘膜厚を測定した.その中央部を100倍1視野で観察し, 1) 腺窩の深さ 2) 窩間部の広さをそれぞれ求めた.以上をシアン調血管が確認されない32病変(以下シ無群)と比較検討した. 併せてWZの視認性をシ有群では血管の見える領域周囲で,シ無群では病変中央で評価した.【結果】平均粘膜厚はシ有群/シ無群で433.2μm/ 616.0μmとシ有群で薄く(p<0.01), 腺窩の深さは176.0μm/ 235.0μm/とシ有群で浅かった(p<0.01). 窩間部の広さは121.7μm/98.4μmと有意差なく,WZの視認性はそれぞれ30% (3/10)/ 97%(31/32)で,シ有群で視認性が低かった(p<0.01).【結論】NBI拡大観察時にシアン調の血管が視認される場合, 粘膜厚が薄く, 腺窩の深さが淺く,WZは視認しにくくことが証明された.ゆえにWZが視認されず,シアン調血管が視認される場合は,酢酸撒布を追加するなど表面微細構造を詳細に観察することで組織型の正診率の向上につながる可能性が示唆された.
索引用語 早期胃癌, シアン調血管