セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-IEE1

タイトル 内P-72:

当院における早期胃癌ESD前・範囲診断の検討~NBI観察と酢酸インジゴカルミン法の比較

演者 中村 真也(市立三次中央病院・内科)
共同演者 向井 伸一(市立三次中央病院・内科), 趙 成大(市立三次中央病院・内科), 小刀 崇弘(市立三次中央病院・内科), 阿座上 隆広(市立三次中央病院・内科), 高場 敦久(市立三次中央病院・内科), 濱田 敏秀(市立三次中央病院・内科), 平田 研(市立三次中央病院・内科), 中西 敏夫(市立三次中央病院・内科)
抄録 【目的】早期胃癌の範囲診断としてNBI観察や酢酸インジゴカルミン法(AI法)が用いられているが,これらの方法を用いても範囲診断困難例を認める.当院における各法の範囲診断能について検討した.
【方法】対象は2010年10月~2012年12月まで当院で精査内視鏡後にESDを施行した表面型早期胃癌で各画像所見が揃う51症例,53病変(IIa25,IIb1,IIc27例,分化型50,未分化型3例).
病変部の範囲診断として(1)通常白色光観察,(2)色素内視鏡(インジゴカルミン散布像),(3)NBI非拡大・弱拡大観察,(4)NBI拡大観察,(5)AI法(酢酸インジゴ散布),(6)step biopsyを行った.範囲診断困難例は複数回GISを施行し再検討した.内視鏡範囲診断は画像ファイリング,所見記録で後ろ向きに検討し(1)明瞭(病変範囲が全周性に指摘できる),(2)一部不明(病変範囲が1/2周性未満の一部で不明瞭な部位がある),(3)不明(病変範囲が1/2周性以上の広範囲で不明瞭)に分類した.判定は内視鏡経験年数10年以上の専門医2名と経験年数3年または1年の専修医1名の計3名で行い2名以上の判定結果を有意,不一致例は3名で再検討し確定した.内視鏡診断の結果とESD切除標本の水平断端診断と対比した.
【成績】NBI非拡大・弱拡大観察;明瞭16例(31%),一部不明14例(28%),不明21例(41%).NBI拡大;明瞭25例(49%),一部不明13例(25%),不明13例(25%).AI法;明瞭28例(53%),一部不明17例(32%),不明8例(15%).各診断法のうちNBI観察のみで明瞭は5例,AI法のみで明瞭は7例であった.各診断法でいずれも範囲不明または一部不明の病変は17例(33%)あり,うち6例(12%)ではstep biopsy陽性であった.
【結論】NBI拡大観察とAI法は範囲診断能がほぼ同等であり両法を併用することにより相補的に診断能が向上した.範囲診断困難例ではstep biopsyが必要であった.
索引用語 胃癌, 範囲診断