セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-IEE1

タイトル 内P-73:

NBI拡大内視鏡観察における組織混在型早期胃癌診断の可能性

演者 坂 暁子(新潟県立吉田病院・消化器内科)
共同演者 八木 一芳(新潟県立吉田病院・消化器内科), 野澤 優次郎(新潟県立吉田病院・消化器内科), 中村 厚夫(新潟県立吉田病院・消化器内科)
抄録 【目的】組織混在型早期胃癌は組織単独型早期胃癌に比し,SM浸潤や脈管侵襲や転移が多く,生物学的に悪性度が高いと理解されている.これら組織混在型早期胃癌をNBI拡大内視鏡観察で診断し得るか,またその拡大像を検討したので報告する.【方法】検討症例は通常内視鏡では粘膜内癌(M癌)と診断しESDを行った胃癌190例とM癌と診断したがリンパ節腫大があり外科手術を行った1例である.手術症例のリンパ節はschwannomaであった.組織型は管状腺癌(tub),乳頭腺癌(pap),未分化型癌(por)と大きく分類し,2種類以上混在したもの(第2,第3の組織型が10%以上を占める)を組織混在型とした.ESD前に組織混在型と診断しえたか否か,さらに写真を見直して混在型と診断できるか否か,またそれらの拡大像を検討した.【成績】組織単独型は175例でtubが171例,porが4例,組織混在型は16例でtub+papが11例,tub+porが4例,tub+pap+porが1例であった.それらの内SM癌は組織単独型は14例で8%,組織混在型は8例で50%,その内訳はtub単独14/171(8%),por単独0/4,tub+pap 4/11(36%),tub+por 3/4(75%),tub+pap+por 1/1(100%)であった.拡大内視鏡診断でpap混在は12例中2例のみESD前に診断できた.Por混在は5例中2例に診断できた.見直しでpap混在は5例は診断不可,por混在も1例は不可であった.Papは球状のwhite zone patternとその内部にloop血管が存在する像が典型であるが,管状腺癌の顆粒乳頭状や絨毛状パターンを示すタイプとの鑑別が困難なことが原因と考えられた.Porではwhite zoneのゴースト様消失や窩間部開大にwavy micro-vesselsの透見が典型的な拡大像であり,それらの像が観察された病変はESD前に診断が可能であった.診断が困難な病変は粘膜表層にtubの成分があり粘膜深部でporに移行している病変であった.【結語】組織混在型は組織単独型に比して明らかにSM浸潤が高く,的確に診断することが重要と考えられた.しかし組織像が表層と深部で異なるなど複雑な病変が多くさらなる検討が必要である.
索引用語 組織混合型胃癌, NBI拡大内視鏡