セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-NSAIDs

タイトル 内P-79:

上部消化管内視鏡的止血術におけるNSAIDs潰瘍―単施設での経年的変化―

演者 鴨志田 敏郎(日立製作所日立総合病院・内科)
共同演者 佐々木 翔一(日立製作所日立総合病院・内科), 竹内 千尋(日立製作所日立総合病院・内科), 遠藤 壮登(日立製作所日立総合病院・内科), 綿引 隆久(日立製作所日立総合病院・内科), 大河原 悠(日立製作所日立総合病院・内科), 大河原 敦(日立製作所日立総合病院・内科), 柿木 信重(日立製作所日立総合病院・内科), 平井 信二(日立製作所日立総合病院・内科), 岡 裕爾(日立製作所日立総合病院・内科), 谷中 昭典(筑波大附属病院日立社会連携教育研究センター)
抄録 本邦では高齢化社会を背景に非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)の使用が増加している. NSAIDsは消化管粘膜障害を起こし潰瘍による出血は内視鏡的止血術を必要とすることも多い.【目的】上部消化管内視鏡的止血術におけるNSAIDs潰瘍の経年的変化を解析しNSAIDs潰瘍の将来像を予測する.【方法】2002年1月から2012年12月までの11年間に当院で緊急内視鏡を行い胃・十二指腸潰瘍に対して内視鏡的止血術を行った症例をNSAIDs 潰瘍,非NSAIDs潰瘍に分類し上部消化管内視鏡検査総数に占める割合とその変化を経年的に調べた.また2006年と2012年のNSAIDs潰瘍と非NSAIDs潰瘍の件数,男女比,平均年齢,他の止血術移行件数,止血までの内視鏡回数,抗血小板薬・抗凝固薬併用患者数を比較した.【成績】止血術件数は2002年34件(0.85%)から徐々に増加しているが2010年のみ43件(0.95%)と急激に減少し2011年78件(2.03%)と再度増加した.NSAIDs 潰瘍の割合は2002年の29%から徐々に増加し2009年以降は50%を超えるようになった.止血術施行例で2006年と2012年のNSAIDs潰瘍と非NSAIDs潰瘍を比較すると,症例数(22:41;36:31),平均年齢(68.2±12.3:60.4±10.1;74.3±14.6:65.3±11.3),止血までの内視鏡回数(1.41:1.15;1.40:1.10),抗血小板薬・抗凝固薬併用(7/22(31.8%):6/41(14.6%);12/36(33.3%):7/31(22.5%))であった.【結論】2010年はPPIがNSAIDs潰瘍に使用可能となった年であり2011年は東日本大震災で当院も被災した.予防の有効性や震災の影響を推察できる興味深い増減ではあるが関連性に関しては詳細な検討ができず断定できない.有意差は出なかったがNSAIDs 潰瘍は高齢者に多く,一度の止血術で止まりにくく,抗血小板薬・抗凝固薬併用症例も多く,さらに高齢化していることがわかった.今後も増加することが予想されハイリスク患者に対する予防の啓蒙が急務である.
索引用語 NSAIDs 潰瘍, 内視鏡的止血術