セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-NSAIDs

タイトル 内P-80:

NSAIDs内服高齢者における上部消化管出血に対する緊急内視鏡検査の現状

演者 村元 喬(昭和大・消化器内科)
共同演者 小西 一男(昭和大・消化器内科), 片桐 敦(昭和大・消化器内科), 久保田 祐太郎(昭和大・消化器内科), 矢野 雄一郎(昭和大・消化器内科), 小林 祥也(昭和大・消化器内科), 木原 俊裕(昭和大・消化器内科), 東條 正幸(昭和大・消化器内科), 紺田 健一(昭和大・消化器内科), 新村 健介(昭和大・消化器内科), 田川 徹平(昭和大・消化器内科), 吉田 仁(昭和大・消化器内科)
抄録 【目的】高齢者における上部消化管出血に対する緊急内視鏡検査の現状をNSAIDs内服群・非内服群に分けてretrospectiveに比較検討した.
【方法】当院で2008年6月から2012年7月までの間に消化管出血が疑われ施行された緊急上部消化管内視鏡検査828例中,食道胃静脈瘤出血例を除く65歳以上の高齢者症例449例(男性240例,女性209例,平均年齢77.8歳) を対象とし,NSAIDs内服群(73例)と非内服群(376例)の2群に分類し,患者背景(年齢,性別,抗凝固剤内服歴,血液透析・輸血の有無,H.pylori感染の有無),血液検査所見(Hb,BUN),収縮期血圧,脈拍,疾患,出血形態(Forrest分類),病変部位,治療成績(止血術介入率,一次止血率,再出血率),平均在院日数に臨床検査値を利用したシンプルな評価指標であるGlasgow-blatchford bleeding score (GBS) (Lancet 2000:356;1318)を加え比較検討した.
【成績】NSAIDs内服群では非内服群に比べ胃潰瘍が有意に多かった(42/73, 58% vs. 126/376, 34%; p<0.01 ).また,Forrest分類Ia/Ibの頻度と病変部位には有意差は認められなかったが,病変は多発する傾向にあった(45% vs. 28%; p<0.05 ).治療成績(止血術介入率,一次止血率,再出血率),平均在院日数では両群間で有意差を認めなかったが,NSIADs内服群では治療部位とは異なる部位からの再出血を2例(2/7)で認めた.その他,患者背景,血液・バイタル所見,GBSについては両群間で有意差を認めなかった.
【結論】NSAIDs内服した高齢者に対する緊急上部消化管内視鏡検査では,患者背景,血液・臨床所見,治療成績に違いはないものの,胃潰瘍が多く,病変も多発する傾向にあった.また,内視鏡的止血術後も別部位からの再出血の可能性を考慮したマネージメントが必要であると考えられた.
索引用語 NSAIDs, 上部消化管出血