セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-NSAIDs

タイトル 内P-81:

当院での緊急上部消化管内視鏡検査における高齢NSAIDs内服症例についての検討

演者 高田 淳(岐阜大附属病院・消化器内科)
共同演者 荒木 寛司(岐阜大附属病院・消化器内科), 中西 孝之(岐阜大附属病院・消化器内科), 井深 貴士(岐阜大附属病院・消化器内科), 森脇 久隆(岐阜大附属病院・消化器内科)
抄録 [目的]上部消化管出血で緊急上部消化管内視鏡検査を施行した症例における, 高齢者の低用量アスピリンを含むNSAIDs内服の有無による差異について較検討した.[方法]対象は2004年5月より2011年3月までの83ヶ月間に,当院において,上部消化管出血で緊急上部消化管内視鏡検査を施行した380例のうち,静脈瘤破裂症例を除いた331例(男性223例,女性108例,平均65.0歳)である.対象を,低用量アスピリンを含むNSAIDs常用のある群(N群)とない群(非N群)に分けて,さらにそれぞれ75歳以上の後期高齢者と75歳未満で,性別,基礎疾患,自覚症状,内視鏡診断,病変数,抗潰瘍薬内服の有無,止血処置を行った割合・回数,止血術後の再出血率,ショックの有無,輸血量,初診時Hb量,絶食期間,入院期間について比較検討した.[結果]全体で75歳以上の症例は100例(男性61例,女性39例)30.2%であった.また,N群は111例33.5%であった.N群は75歳以上37例/100例(37.0%),75歳未満74例/231例(32.1%)で差はなかった.初診時Hb量は全体ではN群8.30g/dl,非N群9.95g/dlで有意差がみられた(p<0.05)が,75歳以上で比較した場合,N群7.97g/dl,非N群8.94g/dlで,N群で貧血高度であったが,有意差はなかった.ショックの有無や輸血量についても,75歳以上N群では29.7%,810mlで,75歳以上非N群の20.3%,803mlに対して多かったが,差はみられなかった.処置の割合や再出血率,処置回数,入院期間,予防的抗潰瘍薬内服率などについては差がなかった.また,75歳以上N群と75歳未満N群での比較では,初診時Hb量は75歳以上の方が低値(7.97g/dl:8.47g/dl),ショックの有無,輸血量,入院日数においては75歳以上の方が高値であったが,いずれも有意差はなかった. [結論]NSAIDs常用患者は,上部消化管出血時の出血量が多く,基礎疾患を有していることが多く,予備能の低い高齢者においては,重篤な経過をたどることもあるため,予防的な抗潰瘍薬の投与を考慮する必要がある.
索引用語 上部消化管出血, NSAIDs