セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-NSAIDs

タイトル 内P-83:

NSAIDs起因性胃粘膜障害のリスク因子・予防因子と消化器症状に関する検討

演者 河野 吉泰(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
共同演者 岡田 裕之(岡山大病院・光学医療診療部), 三浦 公(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 神崎 洋光(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 小林 沙代(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 堀 圭介(岡山大病院・光学医療診療部), 喜多 雅英(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 筑木 隆雄(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 松原 稔(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 川野 誠司(岡山大病院・光学医療診療部), 那須 淳一郎(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 河原 祥朗(岡山大病院・光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
抄録 【目的】当院でのNSAIDs起因性胃粘膜障害について,リスク因子や予防因子,消化器症状との関連性について検討した.
【方法】2010年2月から2012年3月の間,当院で初めて上部消化管内視鏡検査(EGD)を受けた患者のうちNSAIDs内服中と回答した319例(平均年齢62歳,男/女151/168例)を対象とした.患者には検査前にFrequency scale for the system of GERD(FSSG)に基づいた消化器症状に関する13項目の質問に回答してもらい,頻度によって点数化し,総症状点数(TS:0~52)を算出した.粘膜障害についてはmodified Lanza score(MLS:0~5)で評価した.全症例のMLSをA:アスピリン内服無/有,B:NSIADs単剤/複数,C: COX-2阻害薬無/有,D:予防薬種類(なし/粘膜保護剤/H2-RA/PPI半量/PPI通常量/PPI倍量)について比較検討し,粘膜障害のリスク因子や予防因子を調べ,また症状との相関性も検討した.さらに非高齢者群(65歳未満:n=163)と高齢者群(65歳以上:n=156)でMLSとTSを比較検討した.
【成績】全症例のうち129例(39.4%)は予防薬が投与されておらず,非高齢者と高齢者でその割合はほぼ同程度であった.MLS平均値はC(0.99/0.38,p=0.01),D(1.1/1.4/0.37/0.65/0.63/0.20,p=0.0021)において有意差を認めた.TS とMLSの相関係数は0.07となり関連性は見られなかった.非高齢者群と高齢者群でTS平均値を比較するとそれぞれ10.3/6.3となり,有意に高齢者群のほうが低かった(p<0.001)が,MLS平均値については0.98/0.83で有意差を認めなかった.
【結論】粘膜障害の予防因子としてはH2-RAやPPI併用・COX-2阻害剤の使用が有用であった.消化器症状から粘膜障害の程度を予測することは困難と思われた.特に高齢者においては,症状が乏しくてもあらかじめCOX-2阻害剤や予防薬の投与を考慮する必要があると考えられた.
索引用語 NSAIDs, 胃粘膜障害