セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-SMT1

タイトル 内P-85:

粘膜切開直視下生検を施行した上部消化管粘膜下腫瘍の2例

演者 山崎 健路(中濃厚生病院・消化器科DELIMITER岐阜県総合医療センター・消化器内科)
共同演者 小木曽 英介(中濃厚生病院・消化器科), 華井 頼子(中濃厚生病院・消化器科), 尾辻 健太郎(中濃厚生病院・消化器科), 戸田 勝久(中濃厚生病院・消化器科), 勝村 直樹(中濃厚生病院・消化器科), 森 良雄(中濃厚生病院・病理部)
抄録 【はじめに】消化管粘膜下腫瘍の診断において,通常の生検により粘膜下組織が採取できることは少ない.粘膜下腫瘍についてはEUS-FNA等により病理学的診断を行い,治療方針を決定すべきとされているが,施行には専用の内視鏡機器が必要であり,市中病院では未だ一般的ではない.今回我々は,Dual-knifeを用いて直視下に粘膜下腫瘍の粘膜切開を行い,腫瘍を露出させた上で直視下に生検(粘膜切開直視下生検)を行い,病理組織学的診断に有用であった症例を経験した.【症例1】50代男性.嚥下時の違和感,胃癌検診で施行した食道胃十二指腸造影検査にて食道に異常を指摘され当院来院.上部消化管内視鏡にて門歯から38-43cmの食道前壁側に粘膜下腫瘍を認めた.Dual-knifeを用いて粘膜切開直視下生検を行った.生検後は粘膜切開部をクリップを用いて縫合した.病理組織学的には紡錘形細胞の増生を認め,免疫染色にてc-kit(-), S-100蛋白(-), desmin(+)であり,平滑筋腫と診断した.腫瘍サイズが大きく,自覚症状を伴っていたため,外科的切除を施行し同診断であった.【症例2】60代女性.screeningのため施行した上部消化管内視鏡にて胃噴門部大彎に径15mmの粘膜下腫瘍を認めた.EUSでは第4層と連続する低エコー像を呈した.症例1と同様な方法で生検を施行.病理組織学的には紡錘形細胞の増生を認め,免疫染色にてc-kit(-), S-100蛋白(-), desmin(+)であり,平滑筋腫と診断した.自覚症状なく,経過観察とした.いずれの症例においても処置後に特記すべき合併症は認められなかった.【考察】近年,粘膜下腫瘍に対する粘膜切開直視下生検の有用性・安全性が報告されている.ESD を行える施設であれば本手技は施行可能であり,小病変からも十分な検体採取が可能である.今後本手技によって,より小さな粘膜下腫瘍が早期に病理組織学的診断され,治療に結び付けられる可能性がある.
索引用語 粘膜下腫瘍, 生検