セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-SMT1

タイトル 内P-87:

内視鏡的止血術を施行した胃GIST2症例の検討

演者 河俣 浩之(済生会松阪総合病院・内科)
共同演者 行本 弘樹(済生会松阪総合病院・内科), 鈴木 康夫(済生会松阪総合病院・内科), 青木 雅俊(済生会松阪総合病院・内科), 福家 洋之(済生会松阪総合病院・内科), 橋本 章(済生会松阪総合病院・内科), 脇田 喜弘(済生会松阪総合病院・内科), 清水 敦哉(済生会松阪総合病院・内科), 河埜 道夫(済生会松阪総合病院・外科), 近藤 昭信(済生会松阪総合病院・外科), 田中 穣(済生会松阪総合病院・外科), 長沼 達史(済生会松阪総合病院・外科), 中島 啓吾(済生会松阪総合病院・内科)
抄録 【はじめに】胃GISTは無症状か非特異的症状にて偶然発見されることが多い.症状は上腹部痛が最も多く,消化管出血は約7%と稀である.また上部消化管出血の中で胃悪性腫瘍からの出血は2.5%で,胃GISTは更に少ない.今回我々は内視鏡的止血術後に切除した胃GISTの2例を経験したので報告する.【症例1】70代男性.2012年10月下血で内視鏡施行,胃体部に約35mmのSMTを認めた.頂部に小さな潰瘍がありHSE局注にて止血した.PPIを投与し再出血なく経過良好で手術予定とし第12病日に退院.手術前日(第38病日)の胃内視鏡では潰瘍は治癒し再生粘膜で被覆されていた.胃内発育型GISTの診断で腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除術(LECS)を施行,低リスクのGISTであった.【症例2】70代女性.2012年10月赤褐色の嘔吐で内視鏡施行,胃体部に小さな潰瘍を伴う約45mmのSMTを認めた.拍動性出血を認め止血鉗子にて電気的凝固処置を施行したが止血困難であり,HSE局注及びクリップにて止血した.第7病日には潰瘍底も白苔で覆われ,同部位からの生検では壊死組織のみであった.食事開始後の第16病日に黒色便あり,潰瘍が拡大し赤紫色の充実性腫瘍が露出していた.活動性出血は認めず保存的治療を継続し,EUS-FNAにてGISTと診断,腹腔鏡下分節胃切除術を施行した.手術時(第42病日)には大部分で上皮が欠落し腫瘍が露出していた.低リスクのGISTであった.【考察】胃GISTの消化管出血は頂部に形成された潰瘍が原因であることが多いが,内視鏡的に出血部位の同定が困難で止血に難渋する事も多い.また症例1は止血術後に再生粘膜で被覆されたが,症例2では潰瘍は徐々に拡大し大部分で上皮が欠落した.出血を伴う胃GISTは潰瘍治癒が困難な場合もあり慎重な対応が必要であると考えられた.【結語】内視鏡的止血術を施行し対照的な経過を示した胃GISTの2例を同時期に経験したので報告する.
索引用語 胃GIST, 消化管出血