セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-SMT1

タイトル 内P-88:

胃GISTに対する腹腔鏡下胃局所切除術困難例に対する手技上の工夫

演者 上田 貴威(大分大・消化器外科)
共同演者 赤木 智徳(大分大・消化器外科), 柴田 智隆(大分大・消化器外科), 當寺ケ盛 学(大分大・消化器外科), 白下 英史(大分大・消化器外科), 衛藤 剛(大分大・消化器外科), 猪股 雅史(大分大・消化器外科), 野口 剛(大分大・消化器外科), 白石 憲男(大分大・消化器外科), 北野 正剛(大分大)
抄録 【はじめに】切除可能な胃GISTに対する治療として,腹腔鏡下局所切除術が広く普及している.しかしながら,腫瘍の発育形態や発生部位によって,腹腔鏡下切除術が困難な症例が存在する.【目的】胃GISTに対する腹腔鏡下胃局所切除術困難を規定する因子を明らかにし,それに対する工夫を検討する.【対象と方法】2001年1月から2012年12月までに当科にて腹腔鏡下胃局所切除術(単孔式3例を含む)を施行した胃原発GIST症例31例を対象とした.【結果】男女比は,16:15例,平均年齢67(34-87)歳,開腹移行例はなかった.腫瘍の発生部位は,U:M:L領域=23:6:2例,前壁20例,後壁11例であった.腫瘍の平均長径は39(17-90)mmであり,発育形式は壁外:壁内=11:20例であった.平均手術時間130(50-284)分,平均出血量15(3-300)mlであった.平均術後在院日数は11.8(4-31)日であった.術後合併症は,MRSA腸炎1例,断端出血1例,切除後狭窄1例の計3例(10%)であった.全例で切除断端は陰性であり,術後病理学的診断によるリスク分類は,低:中間:高=23:5:3例であった.腫瘍が,幽門輪近傍や食道胃接合部直下に存在した症例では,漿膜切開を先行し局所切除を行った.また,食道壁に固着していた噴門部GIST症例に対しては,術中内視鏡を併施し食道狭窄に留意しつつ,一部を核出術とした.これらの症例は手術時間が長くなったものの,全例腹腔鏡下手術が可能であった.腫瘍の発生領域,発生部位,腫瘍の長径,腫瘍の発育形式において単変量解析を行ったところ,手術時間が180分を超える因子は,腫瘍が後壁に発生する場合であった(χ2乗検定).【結語】胃GISTに対する腹腔鏡下局所切除術は,全例施行可能であった.腫瘍が後壁に存在する場合は手術時間が長く,腹腔鏡下手術が困難となるため,胃の授動や漿膜切開の先行,さらに術中内視鏡の併用などの工夫が必要であると考えられた.
索引用語 胃GIST, 腹腔鏡下局所切除術