セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-潰瘍

タイトル 内P-102:

オメプラール継続内服中にもかかわらず発生したHP陰性巨大胃潰瘍にネキシウムが著効した1例

演者 森 克昭(日野市立病院・外科)
共同演者 一坂 俊介(日野市立病院・外科), 石川 啓一(日野市立病院・外科), 堂脇 昌一(日野市立病院・外科), 藤田 晃司(日野市立病院・外科), 菊永 裕行(日野市立病院・外科), 熊井 浩一郎(日野市立病院・外科)
抄録 症例は55歳女性,慢性関節リウマチのため鎮痛剤長期内服中.42歳時に胃潰瘍穿孔でグラハム手術の既往があり以後もたびたび潰瘍再燃を繰り返していたがオメプラール継続内服しており重症化は認めなかった.しかし2012年5月1年ぶりに施行した内視鏡で体下部大弯および胃角部小弯にA1期巨大胃潰瘍を計2個認めた.露出血管や出血は認めなかったが穿孔のリスクを考慮し内服を変更.オメプラール20mgを中止としネキシウム20mgを開始,またマルファ液を追加しガナトン・プロマックはそのまま継続とした.1か月後の内視鏡再検で潰瘍は2個とも著明に軽快(H1),3か月後にはさらに軽快しそのときのHPは陰性であった(ウレアーゼ迅速).7か月後12月の内視鏡では潰瘍は完全に瘢痕化しそのほかの所見も認めなかった.経過中,リウマチの疼痛コントロール上NSAIDは1日も中止していないが,以後もネキシウム20mg継続併用で10か月経過した2013年3月現在まで明らかな潰瘍再燃を認めていない.ネキシウムはオメプラールの光学異性体であり潰瘍治療においてより有効とのエビデンスが報告されているが,本症例では同一患者においてより効果が高かったことを臨床的に証明する結果となった.またオメプラール含む従来のPPI無効潰瘍症例においてもネキシウムが著効する可能性が高いことが示唆された.
索引用語 胃潰瘍, ネキシウム