セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-潰瘍

タイトル 内P-105:

出血性胃十二指腸潰瘍の治療における内視鏡診療ガイドラインの評価

演者 池端 敦(岩手県立中央病院・消化器科)
共同演者 高橋 健一(岩手県立中央病院・消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院・消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院・消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院・消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院・消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院・消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院・消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院・消化器科)
抄録 【目的】抗血栓薬の服用開始は内視鏡的に止血が確認できた時点での開始が推奨されている.当科では抗血栓薬服用中の出血性胃十二指腸潰瘍症例では止血確認後も1週間の休薬を続けてきた.経験症例の臨床背景,治療成績,予後について後向きに検討すること,およびガイドラインに従った治療の評価を検討することを目的とした.【対象・方法】過去1年間に緊急内視鏡検査が施行された出血性胃十二指腸潰瘍109例(M:80,F:29)を対象とした.抗血栓薬服用者27例(M:20,F:7)(A群)と非服用者82例(M:60,F:22)(B群)に分けて比較検討した.【結果】年齢(中央値,範囲)はA:80(60-93),B:67.5(24-93)[p<0.01],出血部位(U/M/L/残胃/D)はA:9/8/6/1/3,B:15/29/11/2/25,Forrest分類(Ia/Ib/IIa/IIb)はA:3/10/7/7,B:12/33/25/12であった.貧血 (Hb<10g/dl)はA:23(85%),B:48(59%)[p<0.05],血栓症の既往はA:9 (33%),B:5 (6%)[p<0.01],動脈硬化関連疾患はA:22(82%),B:29(35%)[p<0.01]であった.輸血施行はA:20(74%),B:53(65%),再出血はA:8(30%),B:17(21%)にみられた.血栓症発症はA:1例(脳梗塞),B:2例(心筋梗塞),手術はA:1例,B:1例に施行され,死亡例はA:1例(出血関連死1),B:7例(出血関連死1,他6)であった.【症例】60歳代,男性.抗血栓薬服用なし.体中部のIIa潰瘍,体下部のIIb潰瘍に対して止血処置後に入院となった.第3病日に下血,血圧低下,胸痛が出現.心電図の胸部誘導でST上昇,Q波が出現し,CPK-MB258 IU/lと高値であり心筋梗塞と診断された.内視鏡にて湧出性出血に止血処置が追加された.処置後は再出血なく,また輸血や血管拡張剤にて胸痛などの症状は軽快した.【結語】発症前の抗血栓薬服用の有無によらず,再出血がみられること,血栓症の新規発症がみられることから,ガイドラインに従い抗血栓薬は早期の開始が望ましいと考えられる.
索引用語 出血性胃十二指腸潰瘍, 抗血栓薬