セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-胃癌1

タイトル 内P-110:

高分化型管状腺癌で粘膜下腫瘍様の形態を呈し診断に苦慮した胃癌の2例

演者 横山 文明(KKR札幌医療センター・消化器内科)
共同演者 関 英幸(KKR札幌医療センター・消化器内科), 松薗 絵美(KKR札幌医療センター・消化器内科), 大原 克人(KKR札幌医療センター・消化器内科), 石橋 陽子(KKR札幌医療センター・消化器内科), 菅井 望(KKR札幌医療センター・消化器内科), 三浦 淳彦(KKR札幌医療センター・消化器内科), 藤田 淳(KKR札幌医療センター・消化器内科), 鈴木 潤一(KKR札幌医療センター・消化器内科), 岩崎 沙理(KKR札幌医療センター・病理診断科), 鈴木 昭(KKR札幌医療センター・病理診断科)
抄録 【はじめに】粘膜下腫瘍様の形態を呈する胃癌は比較的稀で,質的診断に難渋する症例も多い.従来粘膜下腫瘍様の胃癌としてはlymphoid stroma型,粘液癌,por1などが報告されている.今回我々は高分化型管状腺癌で粘膜下腫瘍様の形態を呈し診断に苦慮した胃癌の2例を経験したので報告する.【症例1】72歳女性.近医で行われたEGDで胃体中部大弯に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を認め,生検で癌を疑われ当科紹介となった.当科で施行したEGDでは粘膜下腫瘍様の胃癌を疑い,複数箇所から生検を施行したがGroup2の結果であった.組織学的診断目的にEUS-FNAを行ったがGroup1であった.EUSで病変の主座は粘膜下層と判定しESDの手技を用いて腫瘍の半分を切除し病理診断を行った.高分化型管状腺癌が証明され,幽門側胃切除を実施した.【症例2】65歳男性.近医で行われたEGDで胃癌を疑われ当科紹介となった.当科で施行したEGDで粘膜下腫瘍様の胃癌と考え複数箇所から生検を施行するもGroup1であった.診断目的にEUS-FNAを行いGroup5の結果で癌の診断が確定した.しかし精査で上行結腸癌も存在し,胃の腫瘍は原発性胃癌もしくは転移性胃癌と考えられた.上行結腸癌が閉塞寸前であることから右半結腸切除と幽門側胃切除が行われた.術後の病理診断から胃の腫瘍は原発性胃癌と診断された.【考察】症例1では癌は白苔に覆われ表面から生検で癌にアプローチできる部位は存在せず,癌の周囲は厚く線維化と脂肪で覆われ粘膜下腫瘍様形態を呈していた.症例2では腫瘍の表面に癌は露出していたが癌の異型度が弱く生検では診断しきれなかった.好中球主体の炎症細胞浸潤と線維化のため粘膜下腫瘍様形態を呈していた.高分化型管状腺癌でも粘膜下腫瘍様の形態を呈することから,組織学的に癌を証明できなくとも内視鏡所見で癌を疑った場合他の方法で癌の確定診断をつける必要性がある.
索引用語 胃癌, 粘膜下腫瘍