セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-胃癌1

タイトル 内P-112:

手つなぎ型腺癌の内視鏡診断

演者 小林 沙代(岡山大病院・消化器内科)
共同演者 河原 祥朗(岡山大病院・光学医療診療部), 岡田 裕之(岡山大病院・光学医療診療部)
抄録 【背景】早期胃癌におけるESDはその安全性・低侵襲性により著しく普及してきた.さまざまなデバイスの開発により治療手技の安定化も得られ,良好な治療成績が期待できる手技である.また,ガイドライン病変にととどまらず適応拡大病変への挑戦や,高齢者ESDの安全性の検討により,更なる治療域の拡大が期待される.しかしながら,その適応を十分に判断すべく,術前の内視鏡診断が重要である.画像強調観察(IEE)や拡大観察により詳細な内視鏡診断が可能となり,診断能が向上してきているのも事実である.胃癌取扱い規約で中分化管状腺癌(tub2)に分類されるもので,「手つなぎ型腺癌」と言われる診断の難しいものがある.粘膜内や粘膜下層で低分化型腺癌に変わる可能性が高い病変で,約半数が未分化型混在癌であるという報告もある.内視鏡的にも質的診断・範囲診断が非常に困難で,ESD適応の評価に難渋する病変のひとつである.【目的】今回,我々は当院での経験した手つなぎ型腺癌20例の内視鏡診断について検討した.形態は0-2a:14例>0-2b:4例>0-2a:2例で2b随伴病変が8例であった.組織型は中分化型腺癌が11例,未分化型混在癌が9例で,うち印鑑細胞癌の混在が7例で認められた.内視鏡診断において,境界明瞭病変(C)あるいは境界不明瞭病変(U) を評価した.通常白色光観察ではC:9例,U:11例,インジゴカルミン観察でC:9例,U:11例,NBI拡大観察でC:9例,U:11例という診断能であったが,Acetic acid-Indigocarmine Mixture(AIM)観察ではC:15例,U:4例と範囲診断に有用であった.内視鏡で範囲診断が不能であった症例はいずれも外科的切除を行ったが,ESD例ではいずれも術前診断の病変径より,病理学的診断の病変径が大きく,切除切片径は病変径より20mm以上大きく切除されていた.【結語】AIMは手つなぎ型腺癌の内視鏡診断に有用であった.しかし,病変径は術前診断より広範であることが多く,ESDの際には10mm以上の十分なmarginをもって施行することが望ましいと思われた.
索引用語 手つなぎ型腺癌, AIM