セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-胃癌2

タイトル 内P-114:

胃癌に対する5-アミノレブリン酸を用いた光力学診断の臨床経験

演者 並川 努(高知大・1外科)
共同演者 宗景 絵里(高知大・1外科), 志賀 舞(高知大・1外科), 北川 博之(高知大・1外科), 福原 秀雄(高知大・泌尿器科), 井上 啓史(高知大・泌尿器科), 執印 太郎(高知大・泌尿器科), 小林 道也(高知大・医療管理学), 花崎 和弘(高知大・1外科)
抄録 【目的】光感受性物質を用いて蛍光物質の癌細胞に特異的な過剰集積する特性を利用した光力学診断 (photodynamic diagnosis: PDD)の有用性が注目されている.胃癌に対する5-アミノレブリン酸 (5-aminolevulinic acid: ALA)を用いたPDDの臨床経験について報告する.【対象と方法】本研究の同意の得られた手術適応胃癌11症例16病変を対象とした.光力学診断装置は,KARL STORZ GmbH&Co製の専用ビデオカメラシステム (Endovision TELECAM SL/IPMPDD System),光源 (D-Light AF System)および光学視野 (PDD専用腹腔鏡HOPKINSII Straight Forward Telescope)を用いた.光源には300W Xenon lampを使用し,励起光は380-440nmの青色光で,先端出力は50 mWとした.全身麻酔下にALA 1g/5%ブドウ糖液50ml溶解液を胃管から投与し,摘除胃をPDD専用装置を用いて観察し,その病理組織学的所見と対比し評価した.【結果】年齢中央値は66歳 (51 - 82),男性7例,女性4例,Stage I 8例,II 1例,III 2例であった.5症例,9病変で病変部に赤色蛍光励起を認め (PDD陽性),正診率 61.1%,感度 56.3%,特異度 100%,偽陰性率 43.8%,偽陽性率 0%であった.赤色蛍光励起を認めなかった6症例7病変 (PDD陰性)と比較すると,PDD陽性群は陰性群に比し年齢中央値が高く (70歳 vs. 55.5歳; P = 0.008),分化型胃癌が多かった (100% vs. 28.6%; P = 0.002).腫瘍の大きさ,壁深達度,リンパ節転移の有無,病期,脈管侵襲の有無については有意差を認めなかった.分化型胃癌においては,正診率 88.9%,感度81.8%,特異度 100%,偽陰性率 18.2%,偽陽性率 0%であった.【結語】ALAを用いたPDDは分化型の胃癌において病変の的確な水平方向進展範囲の診断補助になる可能性が示唆された.
索引用語 光力学診断, 5-アミノレブリン酸