セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-胃癌2

タイトル 内P-118:

早期胃癌の範囲診断における陰性生検の意義

演者 尾藤 展克(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 八木 信明(京都府立医大・消化器内科), 冨江 晃(京都府立医大・消化器内科), 鈴木 建太朗(京都府立医大・消化器内科), 木村 礼子(京都府立医大・消化器内科), 辻 俊史(京都府立医大・消化器内科), 山田 展久(京都府立医大・消化器内科), 土肥 統(京都府立医大・消化器内科), 吉田 直久(京都府立医大・消化器内科), 鎌田 和浩(京都府立医大・消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医大・消化器内科), 内山 和彦(京都府立医大・消化器内科), 石川 剛(京都府立医大・消化器内科), 高木 智久(京都府立医大・消化器内科), 半田 修(京都府立医大・消化器内科), 小西 英幸(京都府立医大・消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科)
抄録 [目的]近年早期胃癌において画像強調内視鏡(以下IEE)の登場により範囲診断能は飛躍的に向上したがIEEでも境界が判断できない症例が存在し側方断端陽性症例を経験したため当科では2010年9月より術前に病変周囲4点から陰性生検を施行している.今回我々は早期胃癌ESD症例を対象に,通常観察,色素観察,IEE拡大観察を施行した症例,また上記観察に加えて病変周囲の陰性生検を施行した症例につき範囲診断能,治療成績を検討した.[対象と方法]当科にてESDを施行した早期胃癌870症例のうち切除標本を病理学的に検索しえた,2006年7月から2010年8月までのIEE(FICEまたはNBI)観察後にESDを施行した381例,また2010年9月から2013年1月までのIEE観察後,境界と判断した部位より5mm外側に周囲4点陰性生検を施行しESDを施行した234例.対象の内訳は男:女 466:149(n=615),発生部位 U/M/L/ 103/240/272,平均腫瘍径 16.8mm,組織型 高分化型/中分化型/未分化型 512/72/31,肉眼型 I/IIa/IIb/IIc/混合型 13/194/12/333/63.[結果]側方断端陰性率はIEE群で95.8%,IEE+陰性生検群で98.3%であった.また術前陰性生検が陽性となった症例は13例あり陰性生検陽性率は5.6%であった.その原因として高分化型癌のIIb進展があり境界不明瞭であったものが11例,境界は認識できたが粘膜中層や深層に存在したsig 1例,手つなぎ腺管1例であった.なお陰性生検陽性症例は再度観察と陰性生検を施行した後ESDを行い全例側方断端陰性となった.また陰性生検陰性であったが側方断端陽性となった症例は4例あり,sig+tub2 1例,陰性生検の間からIIb進展していたものを3例認め,いずれも境界不明瞭であった.[結語]早期胃癌に対するESDにおいて術前の陰性生検により治療成績は向上した.未分化型癌については陰性生検がなされることが多いが,背景粘膜との差が乏しい高分化型癌に対しても有用であると考えられた.
索引用語 早期胃癌, 診断