抄録 |
内視鏡的胃ろう造設の普及により, 造設施行件数の増加に伴う合併症などの件数も増えてきているのが問題となっている. 今回は我々は, 埋没症候群と瘻孔閉鎖不全の2例を経験し, その2例で胃瘻の消化管側の瘻孔開口部の位置が移動していると思われる2例を経験したので報告する. 症例1は71歳, 男性. 主訴, 胃瘻からの栄養注入障害. 既往歴, 胃癌, 胃部分切除(B-I法). 高次脳機能障害で胃吻合部の胃側に胃瘻造設術を施行, 定期的に胃瘻を交換していた. 10年目に, チューブ型に交換, 8ヶ月後に胃瘻から注入できないということで, 当院を再受診となった. 上部消化管内視鏡検査を施行, 埋没症候群になっており, 胃瘻からガイドワイヤーを挿入したところ, 胃吻合部の腸側からガイドワイヤーがでており, もともと胃吻合部の胃側にあった胃瘻の開口部が腸側に移動し, 移動した部位は線状潰瘍瘢痕になっていた.症例2は81歳, 女性. 脳出血後, 摂食障害で胃角前小弯前壁に胃瘻造設術, 以後, 近医にて胃ろうチューブ交換. 4年目に胃ろう周囲からの栄養剤が漏れ, 皮膚炎が出現した. 胃瘻の開口部が十二指腸球部にあるため, 胃ろうチューブを抜去された. 2ヶ月間中心静脈栄養管理をするも, 胃瘻抜去後の瘻孔が閉鎖しないため, 7月,当院を紹介入院となった. 上部消化管内視鏡検査では, 胃角小弯前壁から十二指腸球部前壁まで線状潰瘍を認め, 胃瘻の開口部は, 十二指腸球部前壁に認めた. 引く力によって胃瘻チューブに接触している胃粘膜側に徐々にびらん, 潰瘍性形成ができて, 逆に接触しないほうの粘膜側は瘢痕形成すると思われ, 胃瘻開口部が移動すると示唆される. |