セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-PEG2

タイトル 内P-127:

PEGの適応における術前嚥下機能定量的評価の有用性

演者 西村 智子(京都大原記念病院DELIMITER京都府立医大・消化器内科)
共同演者 石川 剛(京都府立医大・消化器内科), 中井 万実(京都大原記念病院), 泰井 敦子(京都大原記念病院), 西村 敏(愛生会山科病院・内科), 小西 英幸(京都府立医大・消化器内科), 八木 信明(京都府立医大・消化器内科), 古倉 聡(京都府立医大・消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科)
抄録 【目的】嚥下困難者に対し内視鏡的胃瘻造設術(PEG)が広く行われているが,適切な適応は臨床的課題である.PEG後に全身状態が改善し経口摂取が可能となる症例を度々経験し,こうした症例はPEGの積極的適応と考えられる.これまで我々は,後方視的研究でPEG前の嚥下機能評価(藤島グレード)が術後の経口摂取改善可能性の予測に有用であることを示してきた.藤島グレードと単変量解析で経口摂取改善と関連性のある血液検査値との組み合わせについて,PEG後に摂食機能の改善が見込める症例の予測能を,当院にてPEGを行った患者を対象にreceiver operating characteristics(ROC)解析にて検討した.
【方法】 2008年1月から2012年3月までに当院にてPEGを施行後,経過を追跡し得た91例(男性48例,女性43例,平均年齢79.8±10.2歳)を対象とした.PEG後に摂食機能が改善した群(改善群)と改善しなかった群(非改善群)に分類しPEG前の藤島のグレードと血清アルブミン値(alb)と総コレステロール値(T-Cho)について,それぞれにROC解析を行いカットオフ値を算出し組み合わせて術後の経口摂取改善予測能についてROC解析を行った.
【成績】PEG後に摂食機能が改善した症例は21例(23.1%)であった.藤島グレード≧4,または藤島グレード3でalb≧3.4またはT-Cho≧158であることをカットオフとしROC解析を行うと,AUC=0.7619,感度80.95%,特異度71.43%,オッズ比2.833,95%CI 0.6458-0.8780であった.
【結論】術前嚥下機能の定量的な評価はalbとT-Choとあわせて評価することで,嚥下リハビリを見据えた積極的なPEGの適応となる症例の予測に有用であると考えられた.
索引用語 胃瘻, 嚥下評価