セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-PEG偶発症

タイトル 内P-130:

PEG後に胃瘻の使用を断念した症例の検討

演者 横浜 吏郎(国立旭川医療センター)
共同演者 安尾 和裕(国立旭川医療センター), 竹田 安孝(国立旭川医療センター), 斉藤 裕樹(国立旭川医療センター), 松本 学也(国立旭川医療センター), 平野 史倫(国立旭川医療センター), 西村 英夫(国立旭川医療センター), 浅間 俊之(旭川リハビリテーション病院・消化器内科), 青島 優(旭川リハビリテーション病院・消化器内科)
抄録 【目的】PEGは既に確立された手技であるが,その施行には危険を伴い,様々な合併症を経験する.その一方で,PEGが成功したにも関わらず,経腸栄養が施行できずに胃瘻の使用を断念した症例が存在する.もし術前に胃瘻の使用困難が予測できれば,不適切な胃瘻造設を避けることが可能になる.我々は,PEG後に胃瘻の使用を断念した症例を検討し,術前の予測因子について解析した.【方法】1999年4月以降に当院あるいは協力病院でPEGを施行した症例のうち,解析可能な356例を選択した.このうち,PEG後に胃瘻からの経腸栄養へ移行することができず,使用を断念した症例を使用不能症例と定義し,患者背景およびその原因を調査した.また,胃瘻の使用不能を従属変数としたロジスティック回帰分析を行い,術前予測因子について検討した.【成績】症例の基礎疾患は脳血管障害が約70 %を占め,廃用および全身衰弱,進行性神経筋疾患がこれに続いた.全356症例中21例 (6 %) で術後に胃瘻の使用を断念した.使用不能症例の平均年齢は76歳と高齢化しており,一般全身状態が著しく低下していた.るいそうが存在し,使用可能症例に比較して血清学的栄養指標が低値を示す傾向にあった.胃瘻の使用を断念した原因では,誤嚥性肺炎,麻痺性イレウス,慢性心腎不全の増悪が多くを占めた.予測因子を解析した結果,「慢性腎機能障害の存在」,「慢性閉塞性肺疾患の存在」,「低い血中コリンエステラーゼ値」の3項目が独立した危険因子とされた.【結論】PEG症例の6 %で術後に胃瘻の使用を断念した.術前危険因子に合致する症例では,PEGの適応について慎重に検討する必要がある.また,術前に栄養状態を改善させてから施行すべきである.
索引用語 胃瘻, 使用不能