セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-PEG偶発症

タイトル 内P-132:

経皮内視鏡的胃瘻造設2日後,瘻孔開大により穿孔性腹膜炎を発症した一例

演者 北川 紗里香(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科)
共同演者 馬場 哲(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 路川 陽介(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 平石 哲也(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 公文 大輔(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 黄 世揚(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 福田 安伸(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 鈴木 通博(川崎市立多摩病院・消化器・肝臓内科), 伊東 文生(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【はじめに】経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)に伴う合併症は約15%前後とされ,出血,限局性腹膜炎などが報告されているが,重篤なもののひとつに汎発性腹膜炎がある.今回我々は,PEG施行2日後に,胃壁の瘻孔が開大し,汎発性腹膜炎のため緊急手術を要した症例を経験したので報告する.【症例】47歳,男性.脊髄小脳変性症の患者で,嚥下機能低下から,2009年11月にPull法にて体下部前壁にバンパー型の胃瘻を留置した.手技中は特に合併症なく,翌日外部バンパーを適度に緩め,埋没ないこと確認し,白湯注入を開始した.PEG造設2日後に発熱あり,腹部所見にて反跳痛を認めたことから腹膜炎の存在が示唆された.腹部CT施行にてfree airを認めるもバンパー位置の正確な位置が同定できず,緊急GSを施行した.その結果,バンパーは胃内に留置されていたが,瘻孔部が開大し,胃内より腹壁・腹腔内が観察される状況であった.バンパーをスネア把持にて除去した後,緊急手術となった.【考察】本症例の瘻孔開大部は,手術所見や内視鏡での観察では2~3cm大の類円形の抜き打ち潰瘍様であった.通常考えられるバンパーの過度の圧迫による虚血性変化の印象は少なく,バンパー自体の埋没もなかった.原因として,PEG造設時の穿刺による細血管の損傷や,チューブ牽引(外的,しゃっくり,けいれんなど)による物理的損傷の可能性を考えた.また,我々が検索した限りでは同様の報告は無かった.PEG後早期でも胃穿孔が起こり得ることを認識し,重度のけいれん発作の起こり得る患者の場合では,胃壁固定を併用するなどの対応が必要と思われた.【結語】PEG後の2日目に,瘻孔開大から穿孔性腹膜炎を来した症例を経験した.
索引用語 胃瘻, 汎発性腹膜炎