セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-PEG偶発症

タイトル 内P-133:

胃瘻交換での合併症“胃壁貫通”を経験して知り得た胃瘻の実際

演者 花ヶ崎 和夫(我孫子聖仁会病院)
共同演者
抄録 【症例】60才女性,2012年9月,外来にて8回目の胃瘻交換を行った.我々は,胃瘻交換に吊り上げ式誘導装置を用いている.今回も,胃瘻に装置を挿入し,この装置が確かに胃に入っていることを経胃瘻的に細径内視鏡で確認した後カテーテルを挿入,装置を取出し,バンパーカテーテルが装置先端のリングを通過していることで胃内留置とした.しかし,翌日腹膜炎症状を訴え来院.腹部CTにてカテーテルの胃穿孔,栄養剤の腹腔内誤注入を認めた.開腹では胃瘻孔接合部から約1cm離れた胃壁に穿孔を認めた.腹腔洗浄ドレナージ施行,誘導装置を使い胃瘻カテーテルを再挿入,胃の穿孔部は2針で単閉鎖した.術後21病日で完治退院された.【失敗学的考察】この装置は,胃瘻をテープで引きあげ瘻孔を垂直短縮化し,テープの内面に沿ってカテーテルを挿入する.一般的に胃瘻は頭側に向いているので,テープの背面を患者の頭側に位置するようにして引き上げる方が瘻孔を垂直短縮化しやすい.今回は,テープの背面を足側に向けた状態でカテーテルを挿入してしまった.私の油断である.これが胃壁貫通の一因と思われた.当院での胃瘻交換後の造影はストッパーを瘻孔の長さにあわせカテーテルを立てた状態で撮影しており,検証に耐えうる.胃瘻が頭側に極端に傾いた症例を拾い上げ,その特徴を検討した.【対象】2008年8月から2012年12月までに胃瘻交換後造影検査で留置確認した213例,平均年齢79才(28-99),男性82名,女性131名である.【結果】造影にて極端な上向きを示した症例(垂直から上方向に60度以上)は30例,14.1%.男性17例,女性13例であった.上向き胃瘻の割合は女性に比べ男性に多かった(p<0.05).今回の胃壁貫通症例も上向き胃瘻であった.極端な上向き胃瘻の胃はすべて胃瘻の頭側に存在した.腹部CT,内視鏡所見,造設位置に特徴的差異はなかった.【結論】極端に上向きの胃瘻の胃は胃瘻孔接合部の直下にはなく,すべて胃瘻の頭側に偏在していた.上向き胃瘻の成因の一つに造設後の脱気された胃による胃瘻の頭側への引き込みが考えられた.
索引用語 胃瘻交換, 合併症