抄録 |
【目的】近年経腸栄養の投与経路として経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)が多くの症例に施行されているが,胃切除後等PEG困難な症例にしばしば遭遇する.特にBil-II法再建術後では,残胃が小さく結腸後再建であることが多くPEG不能であることが多い.今回通常のPEGが困難であった2症例に経皮内視鏡的残胃,十二指腸瘻造設術が可能であったので報告する.【方法】CTの横断像に連動するスカウト像のリファレンスラインを利用し,透視下でのメルクマールを設定し穿刺部位を決定した.【症例1】Bil-II法幽門側胃切除術後の症例.結腸後再建であったがCT横断像で残胃小弯側に結腸を避ける穿刺ルートの設定が可能であった.スカウト像のリファレンスラインから第一腰椎左端上縁を穿刺予想部位とした.内視鏡透視下で同部を圧迫すると残胃小弯の前壁に指サインを認めた.透視下に腰椎を目標に試験穿刺し胃内に針が届くことを確認した.試験穿刺針を残したまま本穿刺しPull法で24Frバンパータイプを留置した.【症例2】食道裂孔ヘルニアにて全胃が縦隔内に位置する症例.CTでは肝外側区域の背側に十二指腸球部が位置していた.御家族には経肝的アプローチでは出血や胆汁性腹膜炎を来す可能性を説明し開腹腸瘻造設も併せて提案したが,内視鏡的十二指腸瘻造設を希望された.CT画像より第2腰椎上縁を穿刺部位と予想した.透視下で腰椎,内視鏡先端部と十二指腸内ガスを目標に試験穿刺を行い,症例1と同様にPull法にて十二指腸球部前壁にチューブを留置した.【成績】2症例とも術後出血や腹膜炎等の合併症を認めず術後数週で転院となった.穿刺時の注意としては,CT横断像を参考として穿刺部位を決定しているので副損傷を避けるため出来るだけ上下方向に針の角度を付けないことが重要であると考えられた.また瘻孔を意図的に経肝的に作成しておりチューブ交換時も注意が必要である.【結論】CTによる穿刺経路の計画により以前は不能と評価していた困難例に対してPEGを施行した.そのriskを十分理解すればより多くの症例に応用可能であると考えられた. |