抄録 |
経皮内視鏡的胃瘻造設術は簡便で低侵襲のため近年広く普及し行われている.造設時の穿刺時の注意として肝臓や横行結腸が胃の腹側に介在している場合これを穿通することが報告されている.そこで当院では術前に腹部CTを撮りこの合併症を予防するようにしている.今回,横行結腸の介在する症例について検討し,実際に貫通した症例および介在結腸移動させて造設させた工夫などについて報告する.まず実際に貫通した症例は,胃瘻造設から2年後の3回目の交換の時にボタンを胃内に挿入できず,介在結腸を貫通していることが判明したが工夫して同じ瘻孔に再挿入でき,それまで無症状のため,そのまま使用することとし以後3年症状なく経過している例を経験した.次に当院で平成22年1月から平成24年12月までに胃瘻造設を行った91例についての検討を報告する.このうち術前腹部CTで胃と腹壁の間に横行結腸が介在すると画像上判断された18例の症例を対象とした.これらの症例は胃瘻造設に際し,透視室でガストログラフィンによる注腸透視をおこない胃内視鏡を挿入し,胃に送気拡張させることで結腸が穿刺部位から排除された例や透視台を起こしたり,腹壁を圧迫したりなどで排除できた例は12例であった.胃瘻を断念した例が2例,外科的に局麻下に開腹腸瘻をおいた1例,小開腹から結腸を用手的に排除し,内視鏡的胃瘻造設した症例が1例あった.また最近,2例に局麻下に臍に小切開を置き腹腔鏡下手術に使用する細径の腸鉗子などを挿入して透視下に結腸を排除し胃瘻造設する方法を行い良好な結果を得ている.我々外科医にとっては手慣れた方法であり 侵襲も軽度と考えられ 一つの方法と思われる 以上 胃瘻造設の際に結腸が介在する例は,認識されないままに施行されトラブルのない例もあると思われるが,術前検査を行い対応はそれぞれ症例において工夫されるべきものと思われた. |