セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-検査工夫

タイトル 内P-141:

上部消化管内視鏡検査におけるl-メントール製剤の温度による蠕動運動抑制効果の検討

演者 大家 昌源(川口メディカルクリニック)
共同演者 川口 光彦(川口メディカルクリニック)
抄録 【目的】冬季の寒い時期に上部消化管内視鏡検査において,l-メントール製剤を温めて投与することにより蠕動運動抑制効果が変化するかどうかについて検討した.【方法】対象は平成24年12月1日~平成25年2月28日の間に当院で施行した上部消化管内視鏡検査271例のうち,胃蠕動運動が丹羽らの分類の3度以上でl-メントール製剤を胃に散布した74例と十二指腸下行部に散布した11例.これらをl-メントール製剤を室温で保管して投与したC群と35℃~45℃に温めて投与したH群に分けて,胃に散布した症例は胃蠕動運動抑制効果を,十二指腸に散布した症例は十二指腸と胃の蠕動運動抑制効果について検討した.胃蠕動運動抑制効果は丹羽らの分類を用いて5段階評価とした.また十二指腸の蠕動運動は1度(軽度)~3度(高度)の3段階評価とした.【成績】胃に散布したC群(36例)の年齢は30歳~86歳(平均59.1歳)で男性11例,女性25例.H群(38例)の年齢は30歳~81歳(平均56.3歳)で男性15例,女性23例.十二指腸に散布したC群(3例)は平均年齢64.3歳で男性2例,女性1例,H群(8例)は平均年齢71.4歳で男性1例,女性7例.胃への散布ではC群の投与前胃蠕動運動の平均は3.67度,投与後の平均は2.22度,H群の投与前胃蠕動運動の平均は3.45度,投与後の平均は1.84度といずれの群でも有意に低下していた(P<0.05).2度以下まで胃蠕動を抑制した症例を有効とした場合,C群は21/36(58%),H群は29/38(76%)で有効であり,有意差はないもののH群で有効率が高い傾向だった.十二指腸散布例ではいずれの群でも十二指腸の蠕動運動抑制効果はみられず,胃蠕動運動抑制効果はC群では3例とも効果はみられず,H群では4/8(50%)で抑制効果がみられた.【結論】冬季ではl-メントール製剤を温めることにより,胃蠕動運動抑制効果を向上させる可能性があると思われた.
索引用語 胃, 蠕動運動