セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-検査工夫

タイトル 内P-143:

胃運動抑制薬の評価(業務効率と経済的観点からの検討)

演者 中田 樹海(東京警察病院・総合診療内科)
共同演者 鈴木 剛(東京警察病院・消化器科), 中田 和智子(東京警察病院・消化器科), 須山 由紀(東京警察病院・消化器科), 松原 三郎(東京警察病院・消化器科), 小椋 啓司(東京警察病院・消化器科)
抄録 【目的】上部消化管内視鏡検査は胃がんの早期発見にはほぼ必須の検査となっている.現在胃がん検診の新たな方法として,血液検査でリスク分類後に高リスク対象者に内視鏡検査を実施するというABC検診が徐々に広まってきている.そうなると内視鏡検査は従来の精密検査としての位置づけから,高リスク患者に対する検査へと移行し,内視鏡検査数は増加することが予想される.その際にはより多くの患者の検査を施行するため,検査の効率化も重要な課題となってくる.我々は検査効率化のための一つとして,内視鏡検査の際の前投薬に注目した.現在使用しているブチルスコポラミン製剤やグルカゴン製剤は注射製剤であり,両薬剤とも,使用禁忌が多い薬剤である.対して,2011年1月に発売されたl-メントール製剤は内視鏡の鉗子口から直接胃に散布するタイプの製剤でなおかつ禁忌は製剤に対するアレルギーのみであるため使用しやすいという利点がある.今回我々はブチルスコポラミン製剤とl-メントール製剤について業務効率と経済的観点から比較検討を行った.【方法】薬剤費と内視鏡検査の効率に焦点を当て,内視鏡1回あたりの薬剤費および投与医療機器の費用,所要時間,検査にかかる人件費相当額について,ブチルスコポラミン製剤とl-メントール製剤を比較検討した.【結果】ブチルスコポラミン製剤とl-メントール製剤を比較した結果,1回あたりの薬剤費用はブチルスコポラミン製剤のほうが安価であった.内視鏡検査に必要な時間は,l-メントール製剤のほうが短かった.また内視鏡一回あたりの実施にかかる人件費は,l-メントール製剤のほうが安価であった.さらにl-メントール製剤は散布剤であり,禁忌も少なくより幅広い患者へ投与が可能であること,注射が不要で患者に優しい点などメリットも多く,当院においては業務効率,経済的観点ともに,l-メントール製剤のほうが優れていると考えられた.
索引用語 胃運動抑制薬, l-メントール