セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-検診1

タイトル 内P-148:

ペプシノ-ゲンII高値群の背景胃粘膜と酸分泌能について

演者 岸川 浩(東京歯大市川総合病院・消化器内科)
共同演者 財部 紗基子(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 荒畑 京子(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 伊藤 麻子(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 貝田 将郷(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 三好 潤(東京歯大市川総合病院・消化器内科), 西田 次郎(東京歯大市川総合病院・消化器内科)
抄録 【背景】近年胃粘膜の炎症を示唆するペプシノ-ゲンIIが高い症例が胃癌の高リスク群であることが知られるようになってきた.ペプシノ-ゲン陰性群からの胃癌発症例は有意にペプシノ-ゲンIIが高いことが報告されている.しかしペプシノ-ゲン陰性群でかつペプシノ-ゲンIIが高い症例がいかなる背景胃粘膜であるかを検討した報告はない.【方法】対象は2007年から2012年に当科にて上部消化管内視鏡を施行し得た386例である.酸分泌抑制薬投与例,ピロリ菌除菌例については厳密に除外した.内視鏡所見,性,年齢,血清ペプシノーゲン値,ピロリ菌抗体価,空腹時胃液pHについて検討した.ペプシノ-ゲンI 70ng/ml以下かつI/II比3以下をペプシノ-ゲン陽性例とした.またペプシノ-ゲンII 25ng/ml以上をペプシノ-ゲンII高値群と定義した.【結果】ピロリ菌陽性例は174例,陰性例は212例,ペプシノ-ゲン陽性例は78例,陰性例308例であった.ペプシノーゲン陰性でかつペプシノ-ゲンII 25ng/ml以上の症例は23例であり(ペプシノーゲン陰性群の7.5 %),23例中ピロリ菌陽性例は22例 (95.7 %)であった.またペプシノーゲン陰性でかつペプシノ-ゲンII 25ng/ml以上の症例の酸分泌能を反映する空腹時胃液pHは3.55+1.79であった.これはペプシノーゲン陰性,ペプシノ-ゲンII 25ng/ml未満群(n=284,2.05+1.25),ピロリ菌陽性でペプシノーゲン陰性,ペプシノ-ゲンII 25ng/ml未満群(n=81,2.53+1.62),ピロリ菌陰性でペプシノーゲン陰性,ペプシノ-ゲンII 25ng/ml未満群(n=203,1.85+1.00)と比較して有意に高く酸分泌能が低下していた(p<0.05).【結語】ペプシノ-ゲンII 25ng/ml以上のペプシノ-ゲンII高値群は炎症が高度であるのみならず酸分泌が低下しており,ペプシノーゲンのみで評価し得ない胃粘膜の萎縮が存在することが示唆された.またこのことがペプシノ-ゲンII高値群において未分化癌のみならず分化型癌の発症頻度が高いことも説明しうると考えた.
索引用語 ペプシノーゲン, 酸分泌