セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-検診1

タイトル 内P-150:

ABCD分類による胃癌リスク判定の限界

演者 岸埜 高明(佐久総合病院・胃腸科)
共同演者 小山 恒男(佐久総合病院・胃腸科), 友利 彰寿(佐久総合病院・胃腸科)
抄録 【背景】胃癌発生の要因としてヘリコバクター・ピロリ菌(HP) 感染とHP感染により生じる胃粘膜萎縮が重要とされ,胃癌リスクを層別化するためにHP抗体価と萎縮性胃炎の血清マーカーであるペプシノゲン(PG)値測定によって行うABCD分類が提唱されている. HP抗体陰性・PG陰性のA群は胃癌のリスクがほとんどないとされているが,その妥当性について検討した大規模研究は少ない.【目的】A群の胃癌のリスクを検討すること.【対象と方法】対象:2010年6月から2011年5月に当院人間ドックにて内視鏡検査を受け,胃切除歴が無く,文章による同意が得られた11683人を前向きに登録した (UMIN: 000003677).方法:HP抗体のカットオフ値を10U/ml, PG法陽性のカットオフ値をPG I≦70ng/mlかつPG I/II≦3として,受診者をABCD分類した.検査試薬はEプレート栄研HP抗体とルミパルスプレストPG I・IIを使用した.ABCD分類の結果を知らない術者が内視鏡検査を行い,萎縮性胃炎のgrade (木村・竹本分類)を記録した. 内視鏡はGIF H260ZまたはGIF Q240Zを,プロセッサはEVIS LUCERA CV-260 SLを使用した.【結果】結果1. 対象期間に40例の胃癌を認めた. ABCD分類による胃癌発見率はA群 0.1%(7/7246), B群 0.7%(12/1930), C群 0.8%(17/2161), D群 1%(4/346)で, A群から全体の18% (7/40)の胃癌が発見された.結果2. 萎縮性胃炎のgrade別の胃癌発見率は萎縮なし0% (0/4865), Close type 0.16% (5/3188), Open type 1% (35/3630)であった.結果3. A群の36.2%(2620/7246)に萎縮性胃炎を認め,C-I 12.4%, C-II 10.2%, C-III 3.5%, O-I 5.1%, O-II 3.8%, O-III 1.2%であった.また A群から発見された胃癌7例全例にC-II以上の萎縮性胃炎を認めた(C-II 1, C-III 1, O-I 1, O-II 2, O-III 2).【結論】萎縮なし群から胃癌は発見されなかったが,A群から全体の18%の胃癌が発見され,ABCD分類よりも内視鏡的萎縮の評価の方が胃癌リスク判定に有用と考えられた.また萎縮なしとされるA群の36%に萎縮性胃炎を認め,ABCD分類による胃癌リスク判定の限界と考えられた.
索引用語 ABCD分類, 胃癌