セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-検診2

タイトル 内P-155:

ハイパースペクトルカメラを用いた胃癌検出システムの開発

演者 五嶋 敦史(山口大大学院・消化器病態内科学)
共同演者 西川 潤(山口大大学院・消化器病態内科学), 中村 宗剛(山口大大学院・消化器病態内科学), 西村 純一(山口大大学院・消化器病態内科学), 岡本 健志(山口大大学院・消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大大学院・消化器病態内科学)
抄録 【目的】内視鏡検診の有効性は十分に証明されておらず,検診の質に較差があり,胃癌の見逃しが未だ問題となっている.現在の各種,画像強調内視鏡が開発されているが,胃癌の検出能を向上させるには至っていない.我々は一定以上の精度を保って胃癌検出が可能な胃癌検出システムの開発を目指し,ハイパースペクトルイメージング(HSI)の内視鏡への導入を考慮している.ハイパースペクトルカメラ(HSC)で撮影された画像には,各ピクセルごとに反射スペクトルデータが記録されるため,我々の目では判別できない波長の変化を強調して画像化することが可能である.【方法】ESDで一括切除した胃腫瘍,104病巣(早期胃癌 病巣,胃腺腫 病巣)の切除標本をHSC1701で撮影し,病理学的に確定した腫瘍部と非腫瘍部よりそれぞれ任意の10点の反射スペクトルデータを抽出した.104病巣を54の訓練サンプルと50のテストサンプルに分割し,訓練サンプルから腫瘍部と非腫瘍部を鑑別する最適波長を選定,cut-off値の設定を行った.この診断法により,テストサンプルの解析を行い,感度,特異度,正診率を評価した.【成績】腫瘍部と非腫瘍部を鑑別する最適波長は770nmであった.770nmにおいて設定したcut-off値を用いて評価した結果,感度71%,特異度99%,正診率85%で腫瘍部と非腫瘍部を鑑別することができた.また,画像処理を行うことで腫瘍部を強調表示できた. HSIによる画像処理をコンピュータ支援診断に応用し,より簡便に胃癌の検出ができる内視鏡システムの構築を試みている.【結論】HSIにより,胃腫瘍と非腫瘍部を鑑別できる診断法を確立し,腫瘍を強調表示することに成功した.HSIを用いた胃癌検出システムの開発は,胃癌検出能を向上させ,一定の診断精度を保った内視鏡検診の実現につながると考える.
索引用語 ハイパースペクトルイメージング, 胃癌検診