セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-検診3

タイトル 内P-158:

西東京市における胃がんハイリスク検診 ―第1報―

演者 永田 靖彦(西東京市医師会)
共同演者 山口 康晴(西東京市医師会DELIMITER杏林大・3内科), 石田 秀世(西東京市医師会)
抄録 [目的]Hp感染が胃癌発症因子である事が明らかとなり胃がん対策は新たな転換期を迎えている.人口20万人の当市の位置する北多摩北部医療圏おいても胃癌検診受診率の低下が問題とされている.そこで我々当医師会では2011年度より公益事業として胃がんハイリスク検診を導入し運用を開始した.その特徴として二年間で市内40~74歳の全特定健診受診者を受診対象として健診時に同時実施をした.また低リスク群に対しては検診の住み分けの観点から従来のバリウム検診の受診を勧奨した.その後は行政の事業として継続する.市町村医師会としての新たな胃癌検診の取り組み例として初年度より二年間の検診結果を報告する.[方法]2011年度より運用を開始し市内の胃がんハイリスク検診全対象者36,627件へ受診券送付を行なった.一次検診は病院を含む市内83件の医療機関にて実施し市内施設において内視鏡検査を行なった.具体的手順としては特定健診受診時の血清を利用しHp抗体,ペプシノーゲン値を測定しA~D群のリスク判定を行ない,高リスク者に対しては二次内視鏡検査の指導を行なった.[成績]現時点の速報で一次検診受診者は14,865人であった.当検診の対象者に対する受診率は40.6%で実際の特定健診受診者に占める受診率は推計92.3%であった.また二次内視鏡精密検査を受けた受診者は2,993人であった.二次精検受診率は39.9%であった.発見した疾病の内訳は,悪性腫瘍では早期胃癌33例(1.10%),進行胃癌12例(0.40%),食道癌5例(0.17%),MALTリンパ腫3例(0.10%),十二指腸癌1例(0.03%)でその他腺腫8例(0.27%)を認めた.[結論]特定健診および二次精検受診率が比較的低い中で胃癌および関連疾患を多く発見する事が出来た.精査対象者に対する有効な囲い込みがもたらした結果であると推察される.一方検診の導入自体が市内の潜在していた胃癌発見に寄与したことは明らかであり極めて意義のある導入であったと考えられる.市町村医師会での新たな取り組み例として問題点を共有したい.
索引用語 ABC検診, 上部消化管内視鏡検査