セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-抗血栓薬1

タイトル 内P-162:

上部消化管内視鏡生検時の抗血栓薬の休薬状況および生検後出血に関する検討

演者 荒 誠之(東北大・消化器内科)
共同演者 飯島 克則(東北大・消化器内科), 前嶋 隆平(東北大・消化器内科), 遠藤 博之(東北大・消化器内科), 浅野 直喜(東北大・消化器内科), 小池 智幸(東北大・消化器内科), 今谷 晃(東北大・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大・消化器内科)
抄録 【背景】「抗血栓薬内服者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」が今年の7月に発表され,これまでの抗血栓薬休薬による出血予防重視の方針から,抗血栓薬休薬による血栓塞栓症発症への配慮が必要となった.当科ではガイドライン改訂以後,十分なinformed consentや可能な限りの処方医の許可を前提として抗血栓薬単剤内服者は休薬なしでの生検を可とし,2剤以上の内服者でも極力休薬なしで生検可とする指針を作成した.【目的】ガイドライン改訂前後で生検時の抗血栓薬休薬状況に変化があったかどうかを確認するとともに,抗血栓薬非休薬による生検後出血の増加の有無に関して検討を行うこと.【方法】2011年12月1日から2012年8月19日までのガイドライン改訂前の生検症例1108例と,ガイドライン改訂後にその方針を科内で統一しprospectiveに検討を開始した2012年8月20日から2013年2月19日までの生検症例816例とで比較した.検討項目は抗血栓薬内服と休薬状況および生検後出血の有無で,生検後出血は生検により入院加療が必要な出血をきたした症例と定義した.【結果・考察】ガイドライン改訂前の生検症例1108例中82例(7.4%)が抗血栓薬内服者であり,改定後は816例中87例(10.7%)であった.改訂前の抗血栓薬内服者82例中19例(23.4%)が非休薬下の生検だったのに対し,改訂後は87例中63例(72.4%)であり,ガイドライン改訂後で有意に抗血栓薬非休薬下での生検が増加していた.全期間を通じて生検後出血を5例認め(5/1924;0.3%),そのうち抗血栓薬非休薬者は1例のみであり,抗血栓薬非休薬による生検後出血の有意な増加は認めなかった(抗血栓薬非休薬者1/82;1.2% vs 抗血栓薬休薬者+抗血栓薬非内服者 4/1842;0.2% P=0.19).【結論】ガイドライン改訂に伴い抗血栓薬非休薬下の生検が増加していた.抗血栓薬非休薬による生検後出血の明らかな増加は認めなかったが,検討するには症例数が少なく,今後の症例の蓄積が必要である.
索引用語 抗血栓薬, 生検