セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-抗血栓薬1

タイトル 内P-164:

低用量アスピリン服用者における上部消化管粘膜傷害の継年的変化について―2005-06と2010-11の比較―

演者 山本 貴嗣(帝京大・内科)
共同演者 木村 聡(帝京大・内科), 青柳 仁(帝京大・内科), 安達 運(帝京大・内科), 白井 告(帝京大・内科), 磯野 朱里(帝京大・内科), 三浦 幸太郎(帝京大・内科), 江波戸 直久(帝京大・内科), 立澤 直子(帝京大・内科), 阿部 浩一郎(帝京大・内科), 相磯 光彦(帝京大・内科), 高森 頼雪(帝京大・内科), 石井 太郎(帝京大・内科), 田中 篤(帝京大・内科), 久山 泰(帝京大・内科), 滝川 一(帝京大・内科)
抄録 【背景】低用量アスピリンによる上部消化管傷害は近年広く周知されるところとなり,酸分泌抑制薬の予防投与が保険適応されるなど対策も進みつつある.しかし高齢化の進行などリスク因子の増加もあり,実際に消化管傷害の頻度がどのように変化しているかは不明である.【方法】当科で2005-6年及び2010-1年に上部消化管内視鏡(内視鏡)を行った全症例の中から低用量アスピリン常用者を選び,胃潰瘍治療薬併用の状況及び内視鏡所見について比較した.【結果】検査件数は,2005-6年10894件,2010-1年11332件と微増であった.2005-6年に内視鏡を施行したアスピリン服用者は530名であったが,2010-1では798名と1.5倍に増加していた.胃潰瘍治療薬の併用状況は,2005-6年でPPI40%,H2RA23%,粘膜保護薬14%,服用なしが22%であったが,2010-1年ではPPI73%,H2RA12%,粘膜保護薬4%,服用なしが11%であり,PPIの併用症例が増加していた.内視鏡所見として,2005-6年では胃十二指腸粘膜傷害を全服用者の36.0%に認めていたが,2010-1年では15.5%であった.【結論】当院におけるアスピリン服用者において,上部消化管粘膜傷害を認める割合は減少傾向であり,胃潰瘍治療薬,特にPPIの併用など対策が原因の一つと考えられた.ただ,内視鏡を施行するアスピリン服用症例自体は増加しており障害を有する症例実数は依然相当数に上るため,今後更にリスクの周知と高リスク患者に対する対策を行う必要があると思われた.
索引用語 アスピリン, 上部消化管傷害