セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-抗血栓薬2

タイトル 内P-166:

当院における出血性胃十二指腸潰瘍症例に対する抗血栓薬の影響についての検討

演者 阿曽沼 祥(みやぎ県南中核病院・消化器科)
共同演者 高橋 貴一(みやぎ県南中核病院・消化器科), 玉川 空樹(みやぎ県南中核病院・消化器科), 油井 理恵子(みやぎ県南中核病院・消化器科), 洞口 愛(みやぎ県南中核病院・消化器科), 梅村 賢(みやぎ県南中核病院・消化器科), 飯岡 佳彦(みやぎ県南中核病院・消化器科), 大沼 勝(みやぎ県南中核病院・消化器科), 三浦 雅人(みやぎ県南中核病院・消化器科)
抄録 【目的】近年,虚血性心,脳疾患症例の増加に伴い抗血栓薬の内服例が増加傾向にある一方で,内服例の胃・十二指腸潰瘍の発症が問題となっている.今回当院で内視鏡止血を要した抗血栓薬内服群における出血性胃・十二指腸潰瘍症例の内視鏡的及び臨床的特徴につき検討した.【対象・方法】2009年4月~2012年12月に内視鏡止血を要した胃・十二指腸潰瘍症例220例を対象とした.抗血栓薬の内服群:A群60例(男性43例,女性17例)と非内服群:N群160例(男性120例,女性40例)について年齢,性差,H. pylori(Hp)感染,NSAIDs併用,抗潰瘍薬併用,初診時Hb,潰瘍の個数,止血部位,Forrest分類,止血法,輸血の有無,1次止血率,手術移行率,入院期間,死亡退院率につき検討した.またA群の抗血栓薬の内訳及び休薬に伴う合併症の発症につき検討した.【結果】検討項目のうち年齢(A群75.5歳,N群63.5歳,p<0.001),Hp感染(A群59.3%,N群74.8%,p=0.03),抗潰瘍薬併用(A群45.0%,N群15.6%,p<0.001),止血部位(U:M;L:D(%) A群 41.7, 20.0, 11.7, 26.7, N群18.1, 48.8, 8.8, 24.4,U,Mでp<0.001),止血法の選択(1種,複数が各々A群40例,20例,N群で75例,85例,p=0.008),入院期間(A群17.6日,N群11.4日,p<0.001)で有意差を認めた.また,輸血した症例が多く(A群58.3%,N群44.4%,p=0.06),多発性潰瘍が多い傾向を認めた(単数,複数が各々A群で56.7%,43.3%,N群で70.0%, 30.0%,p=0.06).一方,それ以外の項目では有意差は見られなかった.また,休薬に伴う血栓塞栓症は見られなかった.【結論】止血を要した潰瘍症例において,抗血栓薬内服例では非内服例と比較し1次止血率,手術移行率及び死亡退院率で差は見られず治療成績は良好で,血栓塞栓症もみられなかった.一方,抗血栓薬内服例では抗潰瘍薬の併用が多いものの,有意に高齢で入院期間が長期となり,輸血を要した症例も多く,止血前後の管理に注意を要する必要があるものと考えられた.
索引用語 抗血栓薬, 出血性潰瘍