セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-抗血栓薬2

タイトル 内P-167:

アスピリン・クロピドグレル併用抗血小板療法に伴う消化管出血に対する酸分泌抑制薬の予防効果の比較検討

演者 五味 邦代(昭和大藤が丘病院・消化器内科)
共同演者 保坂 尚志(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 山田 雅哉(葛西昌医会病院・消化器内科), 中西 徹(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 阿曽沼 邦央(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 高野 祐一(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 山村 詠一(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 黒木 優一郎(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 丸岡 直隆(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 遠藤 豊(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 井上 和明(昭和大藤が丘病院・消化器内科), 高橋 寛(昭和大藤が丘病院・消化器内科)
抄録 【背景】虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)に伴い,抗血小板療法としてアスピリンとクロピドグレルの併用の有効性は広く認められている.しかし両薬剤の併用はアスピリン単独に比べて消化管出血を増加させ,リスクの低減には酸分泌抑制薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)またはH2受容体拮抗薬(H2RA)が有効であると報告されている.酸分泌抑制薬の中でPPIはH2RAよりもリスク低減効果が高いことが報告されているが,PPIはクロピドグレルの抗血小板活性を低下させることも報告されており,消化管リスク低減と抗血小板活性維持の両面からどちらの酸分泌抑制薬の併用がふさわしいかは未だ明らかではない.
【目的】PCI施行患者のアスピリンとクロピドグレル併用抗血小板療法における消化管出血事象に対する酸分泌抑制薬(PPI及びH2RA)の出血予防効果また抗血小板活性に及ぼす影響を比較する.
【方法】2009年10月~2012年7月にアスピリンとクロピドグレルによる抗血小板療法を開始したPCI施行例100例を対象とし,ランソプラゾール15mg/日投与群(P群),ファモチジン20mg/日投与群(H群)に封筒法にて無作為割り付けした.エンドポイントは消化管出血の合併とし,観察期間は9か月とした.既に酸分泌抑制薬の投与を受けている患者,ワーファリン・NSAID・ステロイドの投与を受けている患者は除外した.
【結果】登録症例100例のうち,除外されず解析に含められたのはP群32例,H群33例であった.背景は両群間で有意差を認めなかった.消化管出血についてはP群で1例小腸出血を認めたが,両群間で有意差はなかった.9か月後の冠動脈造影で再狭窄が認められ,再度PCIが必要となった症例の割合は両群間で有意差を認めなかった.
【考察】PPIおよびH2RAは共に消化管出血の予防に有用であり,また抗血小板活性に及ぼす影響も同等であった.
索引用語 上部消化管出血, 抗血小板療法