セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胃-出血1

タイトル 内P-170:

OTSCの有効性

演者 熊谷 成将(市立四日市病院・消化器科)
共同演者 小林 真(市立四日市病院・消化器科), 二宮 淳(市立四日市病院・消化器科), 前川 直志(市立四日市病院・消化器科), 山脇 真(市立四日市病院・消化器科), 桑原 好造(市立四日市病院・消化器科), 水谷 哲也(市立四日市病院・消化器科), 矢野 元義(市立四日市病院・消化器科)
抄録 【背景および目的】消化性潰瘍を伴う上部消化管穿孔は内視鏡閉鎖が困難な場合が多い.一般に保存的治療や腹腔鏡手術を含めた外科的治療が選択されるが,全身状態によっては外科的治療が困難な場合がある.しかしOver-the-Scope Clip(以下OTSC)は,従来の内視鏡クリップでは対応できない穿孔や出血に対しても有効であると報告されており,我々は上部消化管穿孔で外科的治療が困難とされた症例に対しOTSCを用いて治療を行った.【対象および方法】上部消化管穿孔で全身状態が不良のため外科的治療が困難と判断された症例に対し,OTSCを用いて穿孔部の閉鎖を行った.(OTSCの簡単な説明)ツイングラスパーまたは吸引により両側の粘膜を引き合わせ,OTSCを用いて穿孔部の閉鎖を行った.症例:66歳,男性.アルコール性肝硬変で通院中,心窩部痛と意識消失で救急搬送され腹部CTで右横隔膜下にFree airを認めたため上部消化管穿孔が疑われた.入院時,肝性脳症(3度)と高度の肝腎症候群を認めた.外科手術は困難と判断され保存的治療を行った.しかし胃管から多量の鮮血が排出され出血性ショックを認めたため,止血と穿孔部の閉鎖を行うため上部消化管内視鏡を行った.胃体下部前壁の潰瘍底に10mm大の出血を伴う穿孔性胃潰瘍を認めた.潰瘍周堤の両端の粘膜を吸引で引き寄せ,OTSCのアプリケーターキャップ内に引きこみキャップ先端に予め装填されたクリップを鉗子口に装着したハンドホイールを回転させてクリップをリリースした.【結果】OTSCによる穿孔部は閉鎖され同時に止血も確認でき,外科的治療を回避することができた.しかし,OTSCの装着には多少の慣れが必要であり,緊急で使用するためには事前に練習しておくことも必要であると考えられた.【結論】OTSCの縫縮は強力であり,ツイングラスパー等の補助デバイスと組み合わせることで,従来の内視鏡クリップでは不可能と考えられた消化性潰瘍に伴う上部消化管穿孔の縫縮も可能であった.
索引用語 消化性潰瘍, 消化管穿孔